エピローグ
望月翠。4歳。
翠はアルバムを覗いていた。
知っている人物を見つける度に、指をさして名前を呼んでいく。
「ひなちゃん!」
橘陽菜。
翠の母親の親友。父親とも友達だ。
長い間、支えてくれたはずなのにその記憶が母親にはない。
それでも今でも大切な友人だ。
「だいちゃん!」
藤原大輔。
翠の父親の親友。母親とも友達。
とても優しくいつだって、父親の味方でいてくれた。
「あやちゃん!」
藤原彩花。
父親と母親の友達。そして大輔の奥さんだ。
「あおくん!」
藤原葵。
大輔と彩花の息子。翠の幼なじみ。
「パパ!ママ!」
望月颯太。そして、同じく澪。
翠の父親と母親。
「懐かしいね〜。」
一緒にアルバムを見ていた澪が言う。
それらは澪の記憶が残り出してからの思い出だった。
そしてもう1冊。
澪の記憶には無い。
それでも大切な想い出
タイトルは「35分の記念日」
それを見て翠が言う。
「なつかしね〜」
翠はこの言葉の意味を分かっていない。
「うん、懐かしいね。」
澪は笑ってそう言った。
思い出せなくても寂しくない。
目の前にこんなに大きな希望が居てくれるからだ。
そこに1つの写真を見つける。
クリスマス会の写真だ。
颯太、澪、陽菜、大輔、彩花の5人が写っている。
「みどりと、あおくんがいない。」
翠がそう言った。
他の写真を見返しても、その2人を入れた7人の写真はなかった。
――――――
数日後、望月家に皆が集まった。
「私だけ、独身……。」
陽菜が呟く。
「陽菜ちゃんに結婚は無理だよ。」
葵の手を動かしながら、その母親が裏声で言う。
「悪いこと言ったのはこの口か。」
陽菜が葵の頬を引っ張る。
「ひなちゃん、あおくんいじめちゃ め!」
すぐさま翠が止めに入る。
「女の子に守られるなんて情けない、誰に似たんだか。」
「翠はママに似て良かったね〜」
「えへへ〜」と笑う澪と、
解せぬという表情を見せる父親たち。
「はーい、そろそろ並んでね〜」
颯太の合図で皆が集まる。
ピッピッと一定間隔で光と音が鳴り、しぼらくするとその感覚が短くなる。
パシャっという音とともに、フラッシュがこの瞬間を閉じ込める。
また、新しい思い出が刻まれる。
この思い出は、思い出せるから思い出なのか。
記録に残ると思い出なのか分からない。
ただ、思い出は思い出に過ぎず
いつだって大切なのは
今、隣にいる人と笑えることだと思う。
――――――
これは愛の物語でも、友情の物語でもない。
これは彼らの物語。
物語はまだ続く。
ここで綴ったのは、物語のたった一部。
それはこれを読んでいる人にとってもだ。
あなたにとっての恋とは愛とは。
そしてなぜ愛が憎しみに変わるのか。
その答えを持って、あなたの周りにいる大切な人に
その想いを届けることが出来るのか。
それが真の愛の物語だと私は思う。




