第5話 俺が頂点
12歳になり、私は海王太洋学院───海王国にある世界最大級の規模の教育機関に通う事になった。
ここには惑星ユーエンのあらゆる種族───王族貴族市民孤児関係無く、勉学、武術、芸術など、様々な分野を習う事ができる教育機関だ。
今日は始業式。私は侍従官の方に着替えを手伝ってもらい、始業式会場の席に着いた。
そこには犬、猫、兎、狼、その他多くの獣の耳を持った人達がいる。
カチ、カチ、カチ、ゴン。
時間になり、教員によって銅鑼が鳴らされた。
始業式の挨拶が始まる。
頭にパンダの耳がある銀髪の男が壇上に上がり、始業式の挨拶を始めた。
「初めましての方は初めまして。既にお知り合いの方はこれからもよろしくお願いいたします。
私の名前は永賢信です。海王国の知識人階級の貴族で、この海王大博学院の学長です。
まず初めに、この会場にお集まりになった皆様に、この海王大博院の3つの教育理念をお伝え致します。
」
永賢信は一旦は挨拶を止めて胸を張って息を大きく吸い込んでこのように続けた。
「一つ!知識は非常に鋭利な武器であり自分の身を助けて生きる道を開く道具になる!
二つ!知識は老若男女種族を問わず持つ事ができる平等な物である!
三つ!目標を達成するにはただがむしゃらに取り組むのではなく情熱と理性を持って取り組むべきである!
ですね。皆様ご清聴ありがとうございました。」
会場から一斉に拍手が上がった。
あまりにも挨拶が短すぎると内心思いはしたが、周りに合わせて私も挨拶した。
それからしばらく教員の方々の挨拶、海王国の国家斉唱が続き、生徒同士の交流会が始まった。
俺の名前はラオ=アルス=セラト=アヤだ。獅子人族の国アヤ王国の第一王子だ。
昔から武術も勉学も他の誰にも負けた事がない。つまり、俺という存在自体が最強無敵だ。
それはこれから先も揺るがない事だ。
ラオは交流会で話し相手を探していると、ふと海活了に目をつけた。
この男が海王国の第一皇太子か。無害でそこら中にどこにでもいそうなやつだ。
挨拶でもしてやるか。ラオは海活了のいるところに向かって挨拶をする。
「初めまして!私はアヤ王国の第一王子、ラオ=アルス=セラト=アヤです。
海活了さん、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
「海活了さん、私は海王国に来たばかりなのですが、これから何をしましょうか?」
「そうですね、では素数当てをするのはどうでしょうか?」
「素数当てですか?」
海活了は1000の奇数が書かれた紙を用意した。
「この中にある奇数の中で、素数だけを当てるんです。我が国に伝わる伝統的な遊びです。」
「ほお、とても興味深いですね。」
ラオは内心、こんなものが遊びなんて海王国の連中はそういう頭の作りをしているんだと思った。




