ダンジョン2階層から10階層まで
「これ、アイテムボックスのレベルが上がるたびに収納できる容量が倍々になっていくのか」
ある意味すごいな。
12トンも、アイテムを入れられるのなら……。
「稲穂付きで新米を採取できるな! 問題は、脱穀だよな……」
俺はアイテムボックスを見るが解体や脱穀と言った項目は見当たらない。
つまり白米――、新米の元である稲穂を刈り取ってアイテムボックスにぶちこんでも脱穀する場所がないということ。
――ジーザス!
膝から崩れ落ちる。
今、初めて知った。
そう、ネットで。
スマホで調べて。
「くそっ! 脱穀って何だよ……。そんな脱穀する場所なんかねーよ」
ただでさえ白米が高いというのに!
ただでさえ新米が無限に手に入れることが出来ると思ったのに。
こんなところで躓くとは……。
黄昏てポチポチとスマートフォンで稲穂の刈り取りから、脱穀までの方法を検索する。
すると、昔は天日で乾燥させていたが、今では機械で乾燥させる方法があるらしい。
安くて10万前後か。
たけーよ。
今先立つ金がないってのに。
どこか仲のいい農家さんとかにお願いして脱穀から玄米までお願いできないものなのか……。
「仕方ない……。とりあえず、5トンくらい稲穂含めて採取するか」
しばらくすると意識すれば刈り取らなくても稲穂つきで新米を回収できるようになった。
問題は脱穀だよな。
しばらく稲穂付き玄米を採取したあと、養老渓谷ダンジョン地下2階層の農作物を討伐するために鉈を取り出す。
そして鑑定を使いつつ、様々な稲穂付き米を討伐していったが、米は米と一種類だけしかカウントしないようで違う品種の米に鉈で斬りつけてもスキルが入ることはなかった。
「次は、地下3階か」
現在位置から、地下3階へと降りる階段の方角へと歩きだす。
階段へと向かっている間に、時計を見れば午後10時を過ぎていたことに気がつく。
「どうしようか……」
帰り道をどうするか? という考えもあるし、このまま農作物討伐が必要なのも分かる。
よって――、
「当初の目的通り10階層までダンジョンを潜るとしよう」
3階層は小麦エリア。
4階層から7階層までは各種フルーツエリアだった。
そして8階層から10階層まで歩いたところで、広場には大勢の人たちが集まっている光景が目に入った。
どうやら10階層には、地下1階まで上がることが出来る直通エレベーターがあるようだ。
すでに時刻は、午前を過ぎて翌朝の11時。
正味、24時間以上、ダンジョンに籠っていたことになるが、多いに実りのある一日だった。
【レベル】34
【HP】B
【MP】C
【STR】D
【DEX】D
【CON】D
【WIS】E
【INT】E
スキル
【鑑定Ⅸ】【アイテムボックスⅧ】【経験値上昇Ⅵ】【ステータス補正Ⅷ】【魔法防御力Ⅶ】【体力補正Ⅷ】【魔力補正Ⅷ】【回復補正Ⅸ】【視力補正Ⅵ】【攻撃力補正Ⅶ】【魔法攻撃力補正Ⅶ】
かなりステータスは上がり、スキルも増えた。
ただ一つ誤算があった。
俺が10階層まで降りる間に、日本ダンジョン冒険者協会の交流BBSに農作物を武器で討伐するとスキルがもらえると書き込んだアカウントがあったことだ。
おかげで6階層以降は、まったくと言っていいほどスキルを習得する事ができなかった。
まぁ、このへんは仕方ないと言えば仕方ないんだよな。
俺だけが抜け穴みたいにスキルを独占できるのかと言えば、出来ないのが多人数が参加するダンジョン内の活動なわけで。
その辺は古き良きMMORPGに似ていると言ったところか。