表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/134

冷凍した貝は売れますか?

「本当ですが、一つ問題があります」

「問題とは?」


 俺は、女性が運んできたコーヒーを一度、鑑定してから問題ないと確認したあと口をつけて、


「ダンジョン内から運び出すときに、自分はアイテムボックスを使用していることは、この場で話し合いの場に居られる方々は知っていると思います」


 そこで言葉を区切り、周囲を見る。

 何の反論も、疑問も、指摘もない事から周知の事実として知っているというところだろう。

 なので、話を続ける。


「そしてアイテムボックスを経由し、ダンジョンの外にアイテムを持ちだす場合、生物はアイテムボックスに入れることは出来ません。ここまでは、ご存じですか?」

「ああ。続けてくれ」


 木戸社長を含めて、このへんは知っているとのこと。

 まぁ、すでにアイテムボックスのスキルは日本国内どころか世界中、貧困層から富裕層まで含めて喉から手が出るほど貴重な物。

 その使い道は、常に日本ダンジョン冒険者協会にある冒険者情報交換掲示板で連日、熱い討論がされているくらいだ。

 なので、スキルを手に入れることが出来ない人も知っているのは当然と言ったところだろう。


「ですので、貝関係をアイテムボックスに入れるためには、氷漬けにして貝を一度殺してからアイテムボックスに入れる必要があります」

「なるほど。生鮮担当としては、どうかね? 立花君」

「そうですね。通常の生きて運ばれている貝と比べて値段は下がりますが、後処理の終わった冷凍のアサリやハマグリ、牡蠣などが販売されている事から考えると、氷漬けにして販売するというのはありかと思います。ただ問題は砂抜きですが――」

「砂抜きについては、自分が出来ますので安心してください」

「それなら流通に乗せるのは簡単ですね。問題は、どれだけの量を確保できるかですが――」

「そこに関しては、私から一言いいかな?」


 そこで都築さんが手を上げると口を開く。


「養老渓谷のダンジョン内――、10階層の砂浜は広大な広さがあります。よって、数百トン、下手をすればメンテナンスまでに数千トンは収穫する事は可能だと考えています」

「それは本当のことかね? 都築君」

「はい。どうでしょうか? 佐藤様」

「そうですね。どれだけ漁獲量が得られるかは分かりませんが……。一か月間の漁獲量をデータとして集めて、そこから年間の漁獲量を算出すればよろしいのではないかと」

「佐藤さんが、そのように言われるのだったら。ちなみに佐藤さん」

「何でしょうか?」

「一日、どのくらいの貝を採取できるのでしょうか?」

「そうですね」


 見渡す限りの砂浜を氷漬けにして得られた貝の量が10トン程度。

 そうすると、車での移動も含めると10回程度で抑えた方がいいだろう。


「100トン前後と見て頂ければ」

「ひ、百トン……。今の日本の市場に出回っているアサリの総量が5500トン前後と考えると……、60日で超えてしまう量に……」

「全てがアサリで統一されるわけではありません」


 一応、俺はフォローを入れておく。


「それでもだ……。――と、とにかく今は氷漬けのアサリや貝などはあるのかね?」

「ありますね」

「それでは、まずは、それを市場に売りに出してみるとしよう」

「分かりました」


 アイテムボックス内は時間が経過しない。

 そして、アイテムボックスはレベルが上がればアイテムボックス内で、成分の分離をすることが出来る。

 数十分後、話し合いが滞りなく終わり、一日10トン程度の氷漬けの貝を納入する事という契約を交わしたあと、アイテムボックス内で砂抜きした貝類を木戸商事担当に渡した。

 売れれば新しい商品と言う事で稼ぎが増える。 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
どうでもいいけど、若返り食材は加熱したら変質するのかね? 鮮度次第だけど貝類の大量生食はキツイなぁ・・
100x6=600 0が足りなくない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ