車とバイクを購入した。
レンタカーを利用していたら、自身の過失とは言え、今後のことを含めて金銭で解決しようとしたら、かなりぼったくられたので自宅で情報収集をすることにした。
「なるほど……」
自宅のパソコンで情報を精査していたところ、俺が借りたジープは、新車で500万円前後する車だったらしい。
ウインチなどもつけてもらっていたから、500万ちょいといったところか？
倍の金額で、後腐れないように片付けたことも含めて1200万円ちょいは、ちょっと高かったが警察に届け出をされるよりかは金銭で解決できた方がいいので、もう、そこは納得するしかないな。
アイテムボックスの中に入れているジープに関しては、高圧洗浄洗車をすればいいが、ここはプロに任せた方がいいか。
ネットで検索すると、木更津にプロの洗車会社があるらしいので、養老渓谷に向かう時に、少し大回りになるが車を渡しておけばいいな。
「あとは――」
ダンジョン内で利用するための車を購入する事にする。
ジープは、いざとなったときに使おう。
ネットで千葉市内の中古車ショップを検索し向かう。
大手自動車会社が中古ショップも運営しているので、ぼったくられることはないと思いながらも注意して車を選ぶ。
車は4WDが良いな。
電気自動車だと、環境の変化に非常に弱いので選ぶのはガソリンかディーゼル車。
車を購入する旨を店主へ伝え、まだ車庫証明書を持っていなかったので用意できるまで店の方で保管してもらうように交渉し終え、自転車で東金街道を走っていたところで、
「こんなところにバイクショップが出来たのか……」
赤一色がトレードマークのバイク専門店。
「ダンジョン内なら車も必要かも知れないが、ソロ移動ならバイクの方が良さそうだな……。それにしてもバイクなら、アイテムボックスがなくてもエレベーターを使ってダンジョン内に下ろせそうな物だよな」
どうして、誰もやらないのか。
不思議でならない。
日本ダンジョン冒険者協会の交流BBSを見て見るが――、
「――え？ ダンジョンに入る際に、自動二輪、車両などを持ち込もうとすると、消滅するのか？」
以前に自衛隊がAIなどを利用した荷物持ち機器や、車両を入れようとしたら目の前から消滅したと、交流BBSに書かれている。
「だが、俺の場合は持ち込めたよな？ 何でだ？ ――あ、さらに下に記載がある……」
自転車を側道に停めたまま携帯でチェックしていくと、スキル【アイテムボックスⅢ】に達した冒険者が、アイテムボックスにバイクを入れたままダンジョンに入ったところ、ダンジョン内にバイクを持ち込みできたと書かれていた。
ただし、持ち込めたバイクは、アイテムボックスから取り出したあとでも、アイテムボックスの容量を圧迫し続けたため、一種の召喚術のような形になっているのでは？ と考察されていた。
「なるほど……。つまり、所有権はアイテムボックスにあって、一度、収納した車両などは、召喚術みたいな感じで利用されるってことか。それって、アイテムボックスの容量が少ない時にやったら、大変なことなのでは……」
さらにはアイテムボックスから取り出したバイクに関して、アイテムボックスのスキルを所有していた人間がダンジョンから出た場合、ダンジョン内に置かれていたバイクは、ダンジョンに吸収されるとも書かれていて――、
「これって……、廃棄される車とかアイテムボックスに入れてダンジョン内に捨ててダンジョンから出ればクリーンな形で廃棄車が処理できるのでは……」
そんなことを考えながらも携帯を閉じてバイクを見るために、バイク屋へと向かう。
結局、店員に勧められたのはダートでも坂道でも使えるスクランブラーというバイクだった。
