水魔法と魔物のスキル生態
「水魔法か――」
溶かしバター醤油のハマグリを食べながら、アサリも殻ごと焼いていく。
もちろん、砂抜きはアイテムボックスを利用して砂だけ収納するという荒業を起用。
生物はアイテムボックスには入れることは出来ないが、それ以外の殻や砂は入れることは出来るので、とても役に立つ。
アイテムボックスも使いようというやつだろう。
【水魔法】が、【水魔法Ⅴ】まで上がったところで、もう一つスキルが増えている事に気がつく。
【名前】佐藤和也
【レベル】58
【HP】A
【MP】B
【STR】B
【DEX】B
【CON】A
【WIS】S
【INT】B
スキル
【鑑定Ⅺ】【アイテムボックスⅫ】【経験値上昇Ⅸ】【ステータス補正Ⅹ】【魔法防御力Ⅸ】【体力補正Ⅸ】【魔力補正Ⅸ】【回復補正Ⅻ】【視力補正Ⅷ】【攻撃力補正Ⅸ】【魔法攻撃力補正Ⅸ】【水魔法Ⅴ】【水魔法耐性Ⅶ】
どうやら【水魔法耐性Ⅶ】を手に入れていたらしい。
これは間違いなく色々な貝を食べたせいだな。
しかし、これ……、食べれば魔法を手に入れる事が出来るのならチートなのでは?
倒してから、食べるというステップを踏むなら変わってくると思うが。
あとで実験してみよう。
下手をすると、世に出したらいけない食材の可能性があるし。
あとは魔法の練習だな。
どのくらいの魔法が使えるかどうかわからないから、周りに誰も人がいない海岸線は都合が良い。
水魔法を使おうと意識したところで、何となく魔法の使い方が分かった。
魔法は、詠唱とか魔法名が決まっているわけではないということ。
つまりすべてイメージで魔法が使えるということ。
その辺は、冒険者掲示板にも書かれていなかったが、おそらくスキルを覚えれば自然と理解できるからという理由で書かれていなかったのかもしれない。
海に向けて、水の弾が飛んでいくイメージ。
そう、イメージ。
日本人なら、サブカルチャーに触れているので容易にイメージできる。
「アクアボール!」
やっぱり魔法名を何となく口にしてしまう。
何故なら、無言で魔法を発動できるほど、イメージが固まっていないから。
ある程度はイメージが出来ても最後の一押しのイメージが出来ない――、そう答えれば分かりやすいのかも知れない。
俺が発動させた直径1メートルほどの水の塊は100メートルほど飛び空中で弾けた。
「なるほど……」
何十回か水魔法の練習をしたが、やはりイメージが大事なようで、足の裏からジェットパックの如く水を噴出すれば10秒程度なら上空20メートルほどの高さまで飛んで落下の衝撃も緩和することができた。
水魔法――、用途は限りなく多く、イメージ次第ではかなりの事が出来ると推測できた。
翌朝、朝方に養老渓谷のダンジョンを出たあとは、自分でジープを運転し自宅まで戻った。
午前9時を過ぎて稲穂付きの新米を取りに来た菊池さんに新米を納品したあと実家へ。
実家に到着し、実家に上がると弟がダラダラと居間のテレビを見ていた。
「おーい」
「あ、兄貴、お帰り」
「母さんは?」
「父さんと病院」
「そっか」
用件もないので、早速、実験に取り掛かることにする。
ダンジョン10階で、炭火で焼いたハマグリとアサリを出してから居間へと戻る。
「おい、浩二」
「何だ? 兄さん」
「アサリとハマグリを食べないか? ダンジョン産だが」
「食べる!」
早速、弟がテーブルの上に乗せたアサリやハマグリを食べるが、鑑定で見ても新しくスキルを取得した様子はない。
つまりダンジョンからは死んだハマグリとアサリだけを持ってくれば流通させても問題ないということか。