事情聴取だと!?
モデルハウスを設置して3日後、ようやく電気が開通した。
本来であるなら俺はテレビなどはいらないのだが、少しでも世間とはどういったものかを水の女神であるミツハに知ってもらうためにテレビを購入してリビングに設置していた。
「旦那様! 旦那様!」
「どうした?」
「このホテルの料理、美味しそう!」
朝早くから流れているホテルのコマーシャル。
それを見たあと、流れるニュース。
――一か月後に解散総選挙を行うことになりました。
――出馬を希望の方は、解散総選挙3週間前までに手続きを行ってください。
「へー。今年から10万円の委託金で出馬できるようになったのか……。よく利権の塊だった政治家たちが却下しなかったな」
「そうなのか? 旦那様」
「本来なら供託金数百万円を法務局に預けて手続きをする。そのあと事前説明とか含めると一か月後に解散総選挙は無理があるはずなんだが……」
あまりにも急な解散総選挙に俺も驚いていると、ミツハがテレビのチャンネルを変えていく。
するとニュースチャンネルにかわる。
――まさか国会議員の9割のクビが落ちるとは思いもしませんでしたね。
――テレビ局関係者の3割が死んでますよ?
――元、夕日新聞のフリーライターたちは自宅で変死している事が多数あり……、
――降魔真理教は信者を含めて数万人単位での死者が出てるみたいですね。10兆円近い資産は全て国庫に入るとか――、
次々と流れていく俺の知らない新情報。
どうやら日本政府、各省庁、三点方式賭博場、マスコミ、テレビ局、降魔真理教、出版社関係、公務員に芸能界と、俺と降魔真理教が戦ったあとに10万人近い人間が一斉に死だようだ。
「ミツハ」
「なんじゃ? 旦那様」
「ミツハが呪ったのは3親等内だよな?」
「そうね」
「ならこれは……」
「関係ない……(一部を除いては)」
「そっか」
どうやら大粛清事件は、俺には関係ないようで安心した。
俺とミツハが発端として大粛清が起きたとしたら、さすがに責任を感じたことあろう。
それにしても万単位で死ぬとか相当なやらかしをしたんだろうな。
「それよりも旦那様」
「どうした?」
「冷蔵庫で氷が作れるの」
「お、おう……」
電気が開通して冷蔵庫が動かせるようになったので、数時間前に冷蔵庫を設置して冷凍庫で氷を作るために水を供給していたが、どうやらガタゴトと冷蔵庫の方で音が鳴った事に気がついたミツハが冷凍庫エリアを見て驚いたようだ。
「人間は、すごいの!」
「そうだな」
「ミツハは氷を作れないのか?」
「水の女神だから無理なの」
「そっか」
そのへんは司っている属性による神の力によるんだな。
「ねえ! 旦那様!」
「何だ?」
「買い物に行きたいの! ほら! 料理!」
「料理か……」
「ミツハは料理をしたことがあるのか?」
「ないけど……」
電気は通ったがガスと水道は開通していないから自宅で食事を作ることができないんだよな。
「ガスと水道が開通したら買いにいくか?」
「いくー!」
「それじゃ今日は――」
そこまで口にしたところでインターホンが鳴った。
電気が開通したことでインターホンが動くようになったので、インターホンが鳴るようになったのだ。
「何かな? 旦那様」
「さあ?」
誰が訪ねてきたのか分からないが、玄関のドアを開けると親の顔よりは見た事がない制服を着た男たちが4人、外に立っていた。
「佐藤和也さんでよろしいでしょうか?」
「えーと、はい」
「先週、起きた事件についてお話をお伺いしたいのですが、お時間は宜しいでしょうか?」
そう俺に尋ねてきたのは警察官。
後ろで、こちらを伺うようにして見てきているのも警察官。
「いいですが?」
「それでは、佐藤さんは日本ダンジョン冒険者協会と一触即発な剣呑状態だと伺いましたが本当のことですか?」
これは、まさかの事情聴取というやつですか?




