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地下15階層

 後ろでブツブツと文句を言っている弟を何とか誤魔化して地下15階層に続く階段を降りていく。

 階段を降りた場所は、大きな広間になっていて天井の高さは10メートル。

 半円形のドームで階段を中心に広がっていて、直径50メートルほどはあるだろうか。


「まるでサッカーボールを半分に切り取って大きくしたような空間だな」


 弟の浩二が、空間を見てそう呟く。


「そうだな。それよりも、あっち見て見ろよ」


 ドーム状の空間から真っ直ぐに伸びる通路。

 通路の広さは地下鉄の列車が2台並んで走れるくらい。

 その先には、大きな両開きの扉が鎮座していた。

 扉は開いている。


「あれって、ボス部屋っぽいな」

「兄貴、ボス部屋じゃなくて中間ボス部屋らしい。中間ボスは定期的に湧いて湧いた時には扉は閉まるって」

「つまり、いま開いているってことは――」

「討伐済みってことだな」

「そのわりには――」


 俺は通路の先にテントが張られているのを確認する。

 テントの数は100以上ある。


「地下10階層の中間ボスからのドロップ待ちの集団だと思うぞ? 兄貴」

「なるほどなー。ちなみに、どんなモノをDROPするんだ?」

「育毛剤の素材をドロップするらしい」

「育毛剤の素材……。たしか完成品の育毛剤が100億円で売れたとか売れないとかあったよな」

「ああ。それ狙いだと思う」

「10階層では育毛剤の素材をドロップすることがあるのか」

「――ボスから低確率って掲示板には書いてあった」

「そうか。でも、冒険者協会の掲示板には書いてなかったな」

「眉唾の普通の方のネット掲示板に書き込みがあったから、その情報を見て張り込んでいると思うぞ?」

「まぁ、100以上のテントがあるから、その信憑性は非常に高そうだな」


 テントの横を通り過ぎると次に見えてきたのは、お祭りのような屋台の数々。


「ダンジョン内に屋台が……」


 そう呟いたところで、少し離れた場所で会話をしていた皮の鎧を着た一団が俺達に近づいてくると、「何だ? あんた、初心者冒険者か? あれら屋台は、集まってきた冒険者に食糧を提供するために出店しているのさ」と、説明してくる。

 話を聞いたところ、下手をすると一か月近く中ボスが回ってくるのを待つらしいので暇だとのこと。

 その暇な時間を何とかするために、俺達に話しかけてきたと。


「そうか。情報助かる」

「気にするな。それと5階層ごとに、こういう集まり場所があるからな。あとは――」


 冒険者達が5階層毎にモンスターの強さが上がると教えてくれる。

 どうやら16階層からは、ダンジョンがアップデートされたことで日本狼が出るようになったらしい。

 

「――で、集団で襲ってくるから気をつけな」

「ああ。情報助かる」


 俺は、ゾンビから手に入れた魔鉱石を10個ほど冒険者達に情報料として渡すと、冒険者達も満更ではない様子で素直に受け取ってくれた。

 そして、その冒険者達は魔鉱石で屋台で作られている料理を購入して食べていたので、どうやらダンジョン内では魔鉱石が通貨として機能しているらしいが、そんなことは掲示板に書かれてはいなかった。


「現場に来ないと分からないこともあるってことか」


 あとは、聞いた話では 冒険者達は中ボスを討伐する場合の討伐順番は先着順らしい。

 常駐して何匹もボスを狩る行為は許されていないらしく、順番が書かれた整理券で管理されていると。

 俺は中ボスには興味はなかったので、そのまま15階層のテント村を通り過ぎて、解放済み中の中ボス部屋を抜けて奥に続く通路を歩く。


「以前に、15階層までってダンジョンツアーを見かけたが、15階層は休憩エリアとして利用されていたからなんだな」

「そんなツアー、ネットで見た事あるよ! 俺! どこのダンジョンでも、戦闘に慣れるためにダンジョンツアーガイドってのがついて色々と教えるらしいけど、数日で数百万円必要らしい」


 そこは、日本どこでも同じような商売をする冒険者はいるんだな。




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