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「複数の未確認飛行物体、針路を維持したまま、稚内上空へ」


防衛省地下指揮所において、第一空挺団長の源田少将は反射的にディスプレイの時刻表示に目を向けた。2025年3月15日 04:27 JST。アメリカ大統領が年頭の一般教書演説で言及した、あの海域の「安定」から、わずか二ヶ月と少し。


「戦闘機の発進は?」


「第7航空団、F-35二機が緊急発進。到達予想まであと12分」参謀が即座に応答する。「しかし、対象の速度と高度から判断して、接近は困難かと」


源田はディスプレイ上に展開された地図を凝視する。未確認機の進入経路は明白だった。「エコー」システムによって軍事活動が制限された海域を背後に、北海道の頭部を直接指向するように進む未確認機群。それは、単なる偵察や示威行動ではなかった。


「稚内の沿岸部に、新たな反応」レーダー管制官の声が緊迫を帯びる。「海面から、赤外線シグネチャを複数確認。小型の高速艇、30隻以上」


「スパイダー・プロトコル、発動します」


源田の一声で、地下指揮所の空気が凍り付く。それは、領土への直接的な武力侵攻を想定した非常事態対処プロトコルの一つ。机上の演習でしか発動されたことのない手順が、今、現実のものとなろうとしていた。

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