Another side ⅰ…
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そして私は目を覚ます。
明晰夢?
長い、長い夢を見ていた。
あれは本当に夢?
あれが現実で、今が夢なんじゃない?
あれが唯の夢じゃない事は確信していた。
何故ならその夢は・・・
亜衣に再会するあの日から、
私が死ぬまでの5年以上の歳月を一晩で見せたのだ。
それは、本当に長い、長い夢。
現実の居場所を忘れる程に・・・。
どこか少し曖昧、それでいて鮮烈な・・・
まるでハイライトの様な夢。
そう、それはまるで物語を読んだ後の様な、
物語のキャラクターにでもなったかの様な感覚。
しかし、とてもリアルで現実味のある夢。
予知夢。そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
それは最悪な結末。
誰も救われない、希望のない絶望。
全てを失い、自身をも失い、後悔だけを残し消えていく・・・。
只々、悲しみだけを残して・・・。
ここはどこだろう?
私は周りを見渡す。
自室。
スマホの日付を確認する。
2015年4月25日。
思い出した。私は中学2年生だ。
*****
後に知る事となる。
その日は亜衣とカウンセリング室で再会する2年前、
そして・・・
『亜衣のお母さんが亡くなった日だった・・・。』
更にこれは私が知る事のない事実になるが、
私が夢で死んだ日は、2022年8月25日。
それは亜衣が微睡の中、詩を聴く事となる日だった。
*****
ふとカウンセラーの塔矢先生の言葉が頭を過ぎる。
『最大値を目標にし、最小値を全力で回避する。
そしてそのために最善を選び残す。』
最高の結果と最悪の結末を並べ、最悪の中でも最善を残そうとする。
あの夢は最悪の結末・・・。
その中でも最善を選ぶ。
私は、自らの難病と周囲への絶望で心を閉ざしていた。
でも、その結果訪れるのはあの更なる絶望だ。
それは・・・それだけは回避しなくては!
私は、私を救ってくれたヒーローを連れ戻す。
いや、ヒーローを残す。
私自身も、もちろん幸福を目指す。
最大値を目標にする。楽しく生きる。
心のどこかで、何故か私は確信していた。
あの難病による死は避けられない・・・。
それでも、最後まで生きる事を諦めない。
夢の中のヒーローが、その身を挺して救ってくれたあの命の様に、
私の命は決して簡単に諦めて良いものではない。
ただ・・・もしその時が来たら、私は必ず亜衣を残す。
あの選択は・・・あの未来だけは絶対に選ばない。
・・・
災害の日、家を離れるという手段も考えた。
しかし、予知夢はそれに更なる悲劇を見せた。
私の死は変わらない。二人での生存はありえなかった。
私と亜衣が親しくならなければ?それも考えた。
しかし、やはり予知夢は悲劇を見せる。
それはとてもリアルで、疑う余地がなかった。
私と亜衣は親しくなり、やはり災害の日に二人で家にいる。
私は必ず亜衣を生き残らせて見せる。
『その為に出来る事をやる。残せるものを残す。』
まずは亜衣を先に行かせる為にも私は強くならなくては。
私は強くいられる様に自分を作る。
私の中の強い憧れたの存在、私は夢の亜衣の様に振る舞う。
幸いネットでの私、憧れた私はそれに酷似していた。
私はネット上での自身のキャラクターを現実に引っ張り出す。
亜衣と再会するまでの2年間、私は綿密に計画を練る。
私は何が残せるだろうか?
私はあの詩を思い出す。
最後に残るのは言葉がいい。
物はもしかしたら、残された人を縛るかもしれない。
それにあの災害で失われる。
亜衣には、生き残って幸せになってほしい。
そして、きっとそこに・・・私はいない。
そうだ!物語を残そう♪
それと少しでも楽しい思い出を!
そして意志を育てる言葉を!!
私は、あの最悪な結末の予知夢に感謝する。
あの夢のおかげで、私は私が生きた証を残す事が出来る。
あの人の未来が、希望が、幸せがきっと私の生きた証になる。
あの絶望の予知は、絶望的な未来を回避する為のヒントだったんじゃないだろうか?
改変された未来は、事実を失い証明する術もなくなる。
予知は予知ではなくなり、予測になる。
そして、あのライトノベルは・・・
『予言になる。』




