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side 亜衣 瑠衣

 さぁ、今日も病室で目が覚める。


 季節はまだ、暑さの残る夏の終わり。

 しかし、病室内は至って快適だった。


 もう入院してから2週間以上が経過している。

 とは言えその間、記憶を失ったり、戻ったりしてた訳で、

 塔矢と話したり、父と話したり、芽衣と話したり。

 当然、検査や診察も受けている。

 (あわただ)しい日々だった。


 災害後の状況は、私は知らされていない。

 そりゃそうか。体に異常はない。

 精神的な理由で入院しているのだ。

 周りも気を遣ってくれている。


 しかしそんなこの入院も今週末、終わりを迎えそうだ。

 あれ以来、フラッシュバックは鳴りを潜めている。

 もちろん、まだ油断は出来ないが大切な人達の言葉のお陰で、

私の心は少しずつ傷を癒していく。


 私は今日もスマホに手を伸ばし、小説を書き始める。


 誤字報告8件・・・。あいつ・・・暇なのか?

 暇なんだろうなぁ。でも助かる。


 コメントもいくつか来ている。


『設定が長くて読みづらいです。ストーリーに組み込んで読み心地を良くしたいです。』


 くっ!的確だな!

 悔しいがその通りだ。有難い助言。

 聞いてた通り、優秀なやつの様だ。


『助言感謝します!引き続き宜しくお願いします。』


 私は返信する。よし次!


『重複する部分を端折って、スムーズに読める様にしたいです。具体的には・・・』


 指摘が完璧すぎる・・・もうこいつ自分の小説書けるだろ。


『素晴らしい指摘ありがとうございます。修正頑張ります。

 リュウイさんはご自分の作品を書かないんですか?』


 というか書け!ちなみに「リュウイ」は瑠衣のアカウント名だ。

 名前の読みを変えただけ。まぁキャラ名なんてそんなもんだろう。

 ちなみに麻衣のアカウント名は「リディア」。

 どんな意味が込められているかは私には分からなかった。


『あなたが書いているのを見ていて、私も書いてみたいと思っています。』


 私ばっかり指摘されるのは癪だ。


『ぜひ書いてください。必ず読みます!』


 あいつは一体どんな作品を書くのだろうか・・・。

 小説には書く人の性格が出ると私は思う。

 私は、とても興味があった。


『そう言えば難しいかも知れませんが、

比喩表現などを入れるともっと良くなると思います。』


 イラッ!


『できらぁ!!』


・・・


 そんなやり取りは数日続き、小説は順調に進んでいった。


『大分良くなってきたな。内容も面白くなってきた。』


 お互い口調も砕けてきた。


『そりゃどうも。そっちはまだ書かないのか?』


 瑠衣はまだ小説を掲載していなかった。


『書いてるよ。もうすぐ1章まとめて掲載出来ると思う。』


 なんだよ!どうやら既に書いていて、まとめて掲載する予定の様だ。

 

『楽しみにしてるから早く載せろ♪』


 絶対に読んで、誤字の一つでも見つけてやる。


・・・


 書いていると、あっという間に時間は進み、

気付けばもう、明日は退院予定となっていた。


 そして瑠衣の小説は掲載された。 


 それは全盲の少女が、仮想現実の世界で楽しく生きる物語。

 その主人公は・・・どこか麻衣に似ていた。


 沢山の人に支えられながら、

前向きに、どんな困難な事にも元気いっぱいに立ち向かう主人公。



 あぁ・・・彼はきっと・・・



 もう大丈夫だ。



「しかし普通に面白いな・・・あ!よっしゃ誤字発見!!」

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