表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/62

Side 芽衣 三姉妹の思い出『パーセント算数教室』『未来へのメッセージ』

「さぁ!今日もやるわよ!」


 麻衣お姉ちゃんが部屋に来るなり言う。

 スゴロク以来、私達は定期的に3人でゲームをする様になっていた。


「今日は何のゲーム持ってきたの?」


 亜衣が呆れた様に言う。でも実は満更でもないっぽい。

 寧ろ毎回、一番楽しんでるんじゃないか?


「今日は道具は使わないわ!と言ってもスマホとホワイトボードを使うんだけどね♪」


 麻衣お姉ちゃんは嬉しそうにスマホを掲げている。

 腰に手を当て何とも情けないポーズをキメていた。


「スマホを使ったゲームをするの?」


 私も実はこのゲーム大会を結構、楽しみにしている。


「そうよ!名付けてパーセント算数教室よ!」


 なにその頭悪そうなゲーム・・・。


 なんだかんだでこの大会は第4回大会だ。


 第一回はスゴロクで私が負けてあの惨状だった。

 第二回は麻衣お姉ちゃんが負けて泣きながら茄子を食べた。

 フルコースは流石に可哀想だったので一品だけ。

 それでも随分と苦労をして食べていた。

 第三回はリベンジに燃える麻衣お姉ちゃんのとばっちりを受けて私が負けた。

 まぁ、その日は別に好物でもなかったので晩御飯に茄子を食べた。美味しかった。


 そして今日に至る訳だが・・・


「ゲームは簡単!一人がパーセントで答えられるクイズを出して残り二人が答える。

 正解との誤差が加点されて合計点数が低い人が勝利♪

 3人で1問ずつで競うわよ!」


 いつものザックリ説明が行われる。これが意外と分かりやすい。


「ちなみにクイズは今から10分間、それぞれがスマホで調べて探します。

 ちゃんと統計が取れてたり、調査されている内容を見つける事」


 一通り説明が終わった様だ。ゲーム自体はシンプルだなぁ。


「意義あり!麻衣はもう既に問題を見つけてる可能性がある」


 亜衣から物言いが入った。確かにこの人ならやりそうだ。

 麻衣お姉ちゃんの方を見る。


 目が凄い勢いで泳いでいる。手が落ち着かずひらひらさせてるし、

 口をパクパクさせて何か言いたそうだけど声が出ていない。


 すっごい分かりやすく動揺してる・・・図星なんかい!


「テーマをそれぞれいくつか出して、紙に書いて箱に入れてくじ引きで決めよう」


 亜衣が言う。結局、そのまま意見が通った。

 テーマは、私が「動物」、麻衣が「食べ物」、亜衣が「人」となった。

 10分の検索タイムが始まる。

 意外と奥が深い。多いと思わせて少ない、か少ないと見せかけて多い。

 それを狙う必要がある。私は動物がテーマだしなぁ。

 そして10分が経過する。


「そう言えば罰ゲームだけど、いつものでいいかしら?」


 いつものってあれでしょ?茄子か男装の二択でしょ?なにその二択・・・。

 今日は晩御飯、好物の唐揚げなんだよなぁ。

 狙ってやってるんじゃないだろうな?


「なんだ、まだ茄子が食べ足りないのか?今日は二品いっとく?」


 亜衣が笑いながら麻衣お姉ちゃんを(あお)っている。

 もう二人で仲良く男装して茄子食えよ・・・。


「今日こそ男装させてやるんだからね!」


 何でそこまで必死なんだか。

 まぁ、好きにやらせておこう。


「私は今日は男装で。まぁ負けないし」


 唐揚げは譲れない。


「この日の為にメイク道具を強化してきたから♪

 彫りの深い偉人風イケメンに仕上げてみせるわ!」


 何してくれてるんだこの人は・・・。

 これは負けるわけにはいかなくなった。


・・・


 順番も重要だ。ジャンケンの結果、一番が私、2番が麻衣お姉ちゃん、3番が亜衣。


「まずは私ね。日本で食べられてる鶏肉のうち、国産は何%?」


 唐揚げが食べたい。そんな願いを込めた問題だ。

 まぁ問題はそこじゃない気もするけど。


「それテーマ食べ物じゃね?」


 亜衣が言う。鶏だって動物だし問題ないはずだ。


「晩御飯が唐揚げだからって食い意地張りすぎでしょ」


 麻衣お姉ちゃんが笑いながら言う。

 やっぱり知ってたんだな!


「いいからさっさと答えなさい」


 私は怒りを鎮めて淡々と言う。

 回答のパーセントは各自に渡された小さなホワイトボードに書く。

 これは第二回大会にも使ったものだ。

 まぁ、その話はいずれするかもしれない。


 結果は、亜衣32%、麻衣お姉ちゃん70%と回答。


「正解は64%ね。亜衣は結構いったね♪」(*2019年調べ)


 亜衣32点、麻衣6点とホワイトボードに書く。


「次は私ね♪用意してた問題は無理だったけど、これはこれで自信作よ!」


 麻衣お姉ちゃんは自信満々に言う。

 不正暴露はもう少しひっそりやってほしい・・・。

 どこぞの政治家じゃあるまいし。


「東京都中央卸売市場における茄子の総入荷量約4万1千トンのうち、長卵形なすは何%?」


・・・


 なんで茄子?嫌いなんじゃないの?

 相変わらず訳の分からない人だ。しかし・・・長卵形なすってなんぞ?

 意外といい問題かもしれない・・・、というかズルい!

 スーパーで見る茄子は長細い。卵形の茄子はテレビで見たなぁ。

 高級なやつなのかな?少ないんじゃない?知らんけど・・・。


 結果は、私20%、亜衣80%と回答。


「正解は78.8%よ!亜衣はよく分かったわね・・・」(平成22年調べ)


 麻衣お姉ちゃんは少し悔しそうだ。だが問題はそこじゃない・・・。

 

 ホワイトボードが、芽衣58.8点、亜衣33.2点、麻衣6点と書き換えられる。


 あれ?詰んだ・・・。背景に『ぐにゃあっ』とか出てない?

 ノーカンと叫びたい。


 何か手はないか・・・ないな。


「これは、芽衣の負け確定ね。私はどんな問題こようと50%って書くだけだし♪」


 麻衣お姉ちゃんがハッキリと言う。

 その通りだ。潔く負けを認めよう。


 こうして私はこの度の男装大会の主役となった。嬉しくない。


・・・


「偉人風イケメンってどんなんだろう?」


 麻衣お姉ちゃんが言う。

 それはきっと誰も知らない。そもそもなんだそれ?


「とりあえず目の周りを黒っぽくして彫りの深い感じにしよう♪」


 合ってるのか?それ。


「肌を白っぽくして白人っぽくしよう!」


 うん。パンダだ。


「鼻の先も黒くしよう・・・ぷっ・・・」


 亜衣・・・、笑い漏れてますよ?


「パンダってヒゲあったっけ?ふ・・・ふふっ」


 やっぱりパンダじゃないか!


「髪を書いて、髪を左右にお団子にしよう♪」


 耳ですね。完成ですか?そうですか。

 鏡にはパンダメイクの私がいた。


「白黒の服に着替えて撮影しましょう!めっちゃ可愛いわよ♪」


 まぁ確かに結構かわいいかも。自分で言うのも何だけど。


 相変わらず男装じゃねぇなぁ・・・。


 結局この後、私達は三人みんなでパンダメイクをして白黒の服をきて写真を撮った。

 この写真は私の一番のお気に入り写真だ。


 罰ゲームとは何だったのか?

 いや、罰ではなく罰ゲームだ。


 罰は悪事に対する(むく)いだ。

 そんなものを望んでどうする。


 だからきっとこれが正解なんだろう。

 本当に楽しかった。


 こんな罰ゲームなら私はいつだって大歓迎だ。


 心の底からそう思った。


・・・


 パンダ写真の撮影後、メイクを落とした後に麻衣お姉ちゃんが

いつもの思いつきである事を言い出した。


「そう言えば、ちょっと前に気づいたんだけどメールの送信予約機能って知ってる?」


 何やら日時を指定してメールを送信する機能らしい。


「これを使って未来の私達にメッセージを送りましょう♪」


 なんとも気恥ずかしいが、麻衣お姉ちゃんはこういうのが好きなのだ。


「お互いに半年後と2年後へ、2通。内容は他の人には見せない事!これでどうかしら?」


 麻衣お姉ちゃんの勢いに押される形で私達はお互いにメールを送りあった。

 未来の私達に宛てたメッセージをのせて・・・。




 今にして思う。


 麻衣お姉ちゃんはいつもどこか生き急いていた様に思えた・・・。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ