ミソフォニア小説
ミソフォニアと闘う生活は辛い。家でも、学校でも、外でも、容赦なくトリガーは襲い掛かって来る。ミソフォニアになってから、望実はイヤホンと耳栓が欠かせなくなってしまった。実は、ミソフォニアは音だけではなく、動作もトリガーになる。望実は貧乏ゆすりなどの反復動作がトリガーだ。だから、耳栓さえ持っていれば大丈夫というものでもないのだ。今は、家でイヤホンガンガンで音楽を聴いて何とかしている。でも……
「望実!音漏れうるさいからやめなさい!」
「えぇ……」
こうやって、いつもミソフォニアの対策は母に阻止されてしまう。
(無視したら余計怒られるし……自分の部屋行こうっと)
そう思い、望実はとぼとぼ部屋に歩いて行った。自分の部屋は落ち着いていいのだが、今はやる事がなく、暇すぎて行きたくなかったのだ。
「暇すぎて死にそう……。ネットサーフィンとかしようかなあ……」
そう思い、望実はスマホを手に取り、ブラウザを開く。開くと、いつも見ている小説のサイトが出てきた。そして、望実はある事を思いつく。
ミソフォニアの小説を書こう。
望実は早速、執筆のページを開いた。小説を書くのは、何気に初めてだ。ミソフォニアの主人公が、色々な人と出会っていくという路線だ。ミソフォニアの事を知ってもらいたい。もっといい小説にしたい。そう思うと、言葉が溢れ出てきて、文字を打つ指が間に合わない。そして、10分程度で1話が出来上がってしまった。
「やったあ!」
望実は喜び事すぐに小説を投稿した。レビューは付くかな?皆に見てもらえるといいな。そんなワクワクした気持ちで、私はスマホを閉じた。誰かに見てもらえるまで暇潰しをしようと、私は近くに置いてあった漫画を取った。そして、ゆっくり読み始めた。
ー15分後ー
漫画を一冊読み終わった。もう誰か見てくれてないかな。そう思い、望実はサイトを開く。
「わぁ!」
望実は思わず声を上げてしまった。褒めてくれているレビューを、誰かが書いてくれていたのだ。
『ミソフォニアという病気を初めて聞きました。とても辛い病気なんですね。主人公の気持ちが痛い程伝わってきて、とてもいい小説だと思います』
まさかこんなに褒めてくれるなんて、思いもしなかった。続きを書こうと、私はまた執筆画面を開いた。