第26話:光の槍
「すまねぇ……ネルちゃん……俺が! 俺がその場にいれば……ああ、クソ!! ダメ……だ! なんと言えばいいのか、俺には分からねぇ!!」
「あなた……そうね。私も言葉が見つからない……ネリーゼとは仲も良かったし、あの子がどんな気持ちで死んでいったのか想像できるわ……っ!! 殺し……早く、王を打倒しないと、被害者はこれからも増え続けるわ」
フラグライト夫妻が涙を流しながら、わたしを見て震える。今日はフラグライト家の家長であるバルトロナスが魔物討伐の遠征から帰還した日で、その前日には、ハムドールが操り人形と化した兵士達を引き連れフラグライト家へ訪れていた。対応したフェルトダイムとその母、ディーシャ、姉、ディレーナにハムドールはフォスーラの腕輪の力を使おうと発音詠唱を行ったが、それはトラリスの魔返しの鏡の力で反射された。
発音詠唱で言った命令が「余に従え」だったため、魔返しが発動しても特になにも起こらなかった。もしかしたら王族の耐性によってなんともなかっただけかもしれないが……腕輪の力が効かなかったことに気づいたフルブラッドが、ハムドールに撤退するように耳打ちし、その日は引き返していったらしい。
ともあれ、鏡が有効であることが証明され、さらに頼もしい戦力であるバルトロナスとわたし達は合流することができた。そこで、わたしはフラグライト家の者たちと会議をすることにした。
会議場所は王都の真下にある地底異海の入り口付近にある、洞穴のような隠し部屋だ。王族だけに伝わる避難通路と繋がっており、急死した先王達からのロクな引き継ぎがなかったことと、とある理由からハムドールは知らない。
ハムドールは先々王の息子として生まれたが、幼少期に跡継ぎができなかった大公家の養子となっていた。早い段階でハムドールには王としての才能がないと判断され、大公家の影響力の弱体化、そのうえでの存続を期待され、厄介払いされたのだ。
別の家で暮らすことになったハムドールは、愛する先々王妃と会える時間が少なくなり、母を求める気持ちを強くした。先々王妃、お祖母様もそんなハムドールを憐れみ、できる限りの愛を注いだ。
逆に先々王の元で跡継ぎとして育てられたサリアドールは当然そういった、王家の秘密を知っている。逆になぜわたしが知っているかと言えば、それはサリアドールの息子であるシャイアンから問いただしたからだ。
元は先王の息子ならば、フォスーラの腕輪のことも知っているかもしれない、ということを期待して聴取を開始したのだが、特に情報は得られず、他に王族の秘密で知っていることはないか? と聞き出したのだ。
それによれば、シャイアンは無能なハムドールのことが気に入らず、本来伝えるべき王家の秘密を、サリアドールの死後もハムドールに伝えなかったのだという。本来は責められるべき案件ではあるが、実際その判断は正しく、無駄に敵を作る余裕のないわたしはシャイアンに恩を売り、協力させる形にとりまとめた。
「今日はわたしの急な呼び出しに集まってくれたことに感謝する。そう長時間の会議もできないので、基本的に事務的なやりとりのみ行う」
「お、おお……貫禄があるな。ネルちゃんは……前々から思ってたが君やディアは歳の割にしっかりしすぎだ……君はまだ11、もっと大人を頼っていいんだぞ?」
「あなた! 事務的なやりとりだけってさっき言われたでしょう!?」
しまったという顔で口を押さえるバルトロナス。分かりやすく真っ直ぐな男だ。事務的な対応を求めたのはわたしだが、純粋に心配してくれるのが伝わってきて。わたしの心は少しばかりの安心感を得た。
「でもよ。色々納得できないことが多いんだ。ムーダイルだけ仲間はずれで集まるってことも俺は納得いかねぇんだ。あいつだって男だ、力は弱いけど、ガッツはあるんだ!」
注意されてもバルトロナスは止まらない。実直で熱い男であるために、この男の協力を得るつもりなら、納得が必要であると実感した。
「あいつは、力はないが無理をする。バルトロナスさんも魔物討伐で随分と無理をしてきたと聞きます。想像してみてください、ムーダイルほどの力でその無理をすることを。あなたは優しさから無理をしてきたが、ムーダイルはそんなあなたから力の強さを全て奪ったような存在なんです」
「なっ……すげー納得だ……確かにあいつは俺と似てる。俺がゴリ推してきたことだって、正直……よくよく考えてみると、俺でも危なかったし、俺より少しでも弱いなら死んでるわ。ムーダイルだったら確実に死んでるな。だがなぁ……うーん、しかしなぁ……頭では分かるんだぜ? だがよぉ、あいつの気持ちを思うと納得できねぇなぁ~」
「親父、少し黙ってろよ。話が進まなくなる。俺は親父やネルスタシアと違ってあいつが、戦闘で役に立たねぇとは思わないし、死ぬとも思わねぇが、俺はネルスタシアやフェルトダイムの意見には賛成だ」
「ガーディナス!? お前なら俺の味方してくれると思ったのによお! 俺と一緒で単細胞馬鹿だし!!」
ガーディナス、フラグライト家の長男であり天賦の才を持つ、歴代のフラグライト家でも最強ではないかと言われる男。ダークブラウンの跳ねた髪と鋭い緑の目を持つ、尖った印象を受ける男。歴代最強ということは当然すでにバルトロナスよりも強い。今は16だが、12の頃には父親を超えたという。
「俺でも親父よりは賢いよ。俺がネルスタシア達の、ムーダイルを関わらせない案に賛成なのは、ムーダイルを関わらせれば、ハムドールをぶっ殺せる確率が低くなるからだ。ムーダイルに執着し過ぎた異常者が少なくともこの場には三人いる。ムーダイルが戦いに関われば、こいつらの戦力が低下する。あいつのことが気がかりになって作戦に集中できなくなる。あいつに安全がなければ、こいつらは大した役に立たない」
「わたくしも兄さんに賛成ですわぁ。ようは守りの戦いをしている余裕はないってことでしょう? 相手は大勢の兵士たちを操ってるわけですから、悠長な戦い方はできませんわよ。ムーダイルを守るために重要な戦力が分散し続けるのは色んな意味で危険ですのよ」
ガーディナスの意見に長女のディレーナが賛同する。金髪の長髪に緑の瞳。歳はわたしよりも3つ上で14歳だが、身長が高くスタイルもいい。母のディーシャと同じく魔法系を得意とする勇者だが、魔物を討伐する青茸騎士団の者たちからの評価は高くない。なぜなら扱う魔法の射程が武器を使っての攻撃と大差ないからだ。
魔法技能者には支援や広範囲火力、長射程を期待する兵士が多く、単純な攻撃は物理でやればいいと思うのが普通だからだ。ディレーナは支援魔法を使えるが使用することはほとんどないという。近距離での攻撃魔法にこだわり、ロクな支援をせず、近距離攻撃魔法ばかり発動する。そんなことをしていたせいで近距離攻撃魔法に取り憑かれた異常者だとまで言われている。
本人はそれを全く気にしていない。図太い女であり、独自の世界観を持っているタイプだ。性格も良くないが善人ではある。悪い人じゃないけど……と言われ、自然と距離を置かれるのが常だ。
「そうですわ。ムーダイルは後々戦いの邪魔に絶対なりますし、他国へ留学させましょう」
「なに言ってるのディレーナ姉さん!?」
戦いの邪魔だから他国へ留学させろというディレーナの発言にディアミスが怒り、会議に使用している机を叩く。大きく揺れるかと思われたが、ガーディナスが同じタイミングで机を下から支え、全く揺れなかった。それどころか音もほとんどしない。
「ディア、大きな音を立てたら誰かに気づかれるかもしれないんですから、そういうのは後にしてくださるかしら? 別にムーダイルを邪険にしようっていうんじゃありませんわ。ちゃんとあの子のことを考えてのことです。あの子は最近鍛冶師の修行を頑張ってますわ。でもこんな鍛冶後進国であるアステルギアにいたんじゃ、あの子の偉大なる才能が腐ってしまいますわぁ。
素晴らしい才能が腐ることなんて、わたくしにはとても受け入れられませんわ。あの子はわたくしの芸術にも理解を示しましたし、有象無象とは違う物の見方ができるんですのよ。だから、鍛冶の本場であるドルガンタル国の鍛冶学校に留学させればいいとわたくしは思っていますわ。遠く離れた地ならば、ハムドールの手も及ばないですし。
この案を実行すれば、安全も確保できて、異常執着者達の戦力低下も予防できるし、ムーダイルは才能を開花させられるしで一石三鳥ですわぁ! そうは思いません?」
ディレーナの意見に誰も反論することができなかった。納得いかなそうな表情のディアですら、押し黙っている。わたしとディアは露骨に落ち込んでしまっているが、フェルトダイムはそうではなかった。
「僕もディレーナに賛成かな。むーちゃんの幸福を考えてもそれが一番いいと思う。それに、いつか鍛冶絡みでどこかへ修行にいくことになるって思ってたから。こんなタイミングになるとは思わなかったけどね……
この国は、むーちゃんにとって不都合な事が多い。戦うことが取り柄のはずの勇者の血筋に生まれながら、力は弱く、一番興味を持った鍛冶だって、この国の鍛冶技術レベルは後進国クラスで……そして……戦うための力を求められる、こんな情勢になってしまった。
みんなみたいに戦いの才能がある人にはよくわからない感覚かもしれないけど、魔法も武術も大した才能がない僕には少し分かるんだ。みんなが僕たちの力の弱さに目を瞑り、優しくする度に、ここは自分の居場所じゃないのかもしれないって、そんなはずないって分かってても、思っちゃうんだ。
だけど、むーちゃんは自分の道を見つけたんだ。ネルちゃんのおかげでね。自分が役に立てる、戦える、自分の戦場を見つけたんだ。活き活きと鍛冶の修行をして、自信をつけていったむーちゃんを見て、僕は本当に嬉しかった。少し寂しい気持ちもあるけど、僕らが邪魔したらダメな、むーちゃんの戦いがあるんだよ」
「そうだな……フェルトダイムの言う通りだ。このまま戦いが本格的に始まって、国内が荒れてしまえば、ムーダイルは旅立つタイミングを失う。一度その機会を逃せば、次は何年後か、そもそも命があるのか……わたし達にできることがあるとすれば、旅立ったあいつが戻る頃にはこの国を平和にすることぐらいなのかもしれない」
わたしも結局フェルトダイムとディレーナに賛同した。後ろ髪を引くような真似をせず、純粋にムーダイルを応援できるフェルトダイムに負けた気がした。
「お前らが何をそんなに深刻に考えてるかさっぱりだけどよ。俺もムーダイルが好きなことやれるならそれが一番いいと思うぜ。俺としては、あいつにもっとなんかしてやりたかったんだけどな。結局、あいつにも使える剣術を俺は作れなかった。お前でも使える剣術を俺が作ってやるって約束したのにな。馬鹿みたいに小せぇ頃にした約束だけど、俺は本気でやってたんだ」
ガーディナスの鋭い目つきから涙が流れ落ちる。本人を除いた全員が、ムーダイルの留学に納得した。ムーダイルのいないところで、ムーダイルの未来が決められた。
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ムーダイルの留学の話が本人にも伝えられた。ムーダイルはあまり納得はしていなかったそうだ。わたしが大変な時に自分が国を出るのは間違っている。自分が側にいなきゃ、ネルスタシアは危ないんだと言っていたそうだ。だが、家族の総意にムーダイルは押し切られ、最終的に留学を了承した。
ムーダイルが留学を決めて数日のことだった。フラグライト夫妻に対し王城に来るよう召喚命令がハムドールからなされた。それが罠であることは明白だったが、夫妻はそれに応じた。フラグライト家にはガーディナスがいる。下手なことをすればガーディナスが報復するというプレッシャーを使い、交渉するつもりだった。最終手段ではあるが、最悪、夫妻はハムドールと刺し違えることも覚悟でハムドールを斃すつもりだった。
母と弟が死んでから王城は様変わりしていた。いつも見かけていた大臣や貴族、侍女達が消えていたからだ。消えた者たちは投獄されたか処刑されたかの二択、不思議なことにフォスーラの腕輪で操られたものは多くない。操られたものの多くは兵士だ。やはりなんらかの制約が腕輪には存在するのだろう。城内は兵士だけが多く存在し、慢性的な人手不足に陥っていた。わたしもそんな人手不足から仕事を与えられた。
そして、書記官としてフラグライト夫妻の召喚に立ち会うことになった。これは、おそらくフルブラッドの画策だろう。わたしに揺さぶりをかけて、探りをいれるつもりだ。フラグライト家との繋がりを疑われているのだ。この男の前では全ての感情を殺し、些細な情報も与えない、そんなことを思っていた。しかし、わたしが思うものとはまるで違う方向に事態は進んでいく。
「何? 魔王を討伐しろだって? 遠征隊に出せる兵士の数はどれくらいなんだよ」
「兵士? そんなの出せるわけないじゃないか! お前の息子のガーディナスがぼくの命を狙ってることは知ってるんだ! ぼくはその対策のために兵士を王城から出せないんだ! お前が悪いんだよ! バルトロナス! お前が息子を使ってぼくを追い詰めるからぁ!」
「ふざけてるの!? そんなの私達に死ねと言っているようなものだわ!!」
「嫌ですねぇ。王にはそんなお考えなどないというのに……そもそも魔王が二体同時にこの国へ向かっているっていうのは本当のことなんですよぉ? 水の魔王と光の魔王が徒党を組んで、この国へ……正確にはテミス連合王国へと向かっているんですがぁ、この国はその通り道に存在しますから。このままだとついでに滅んでしまいますねぇ」
「それは本当なのか? 信用できねぇな。魔王が徒党を組むなんてそうそうあることじゃねぇだろ! それが他の国を狙うついででうちが滅ぶだぁ? そんなことが、お前らに都合の良いことが、都合の良すぎるタイミングで起こるかよ!!」
「都合がいい!? 何言ってるの!? そもそも魔王が来たらぼくだって死んじゃうんだよ! ぼくだけじゃなく国民も沢山死ぬと思うけど? 勇者なのに弱きものを見捨てていいの? 王都以外の田舎なんて勝手に滅べばいいけど、王都が滅んじゃったらもう終わりだよ!!」
魔王が二体同時に現れ、徒党を組んでテミス連合王国へ移動中であり、その通り道にアステルギア国が存在するというのは本当のことだった。商人や旅人の証言や、同盟国からの伝書鳩からの手紙で裏は取れている。魔王の脅威は本当のことだったが、ハムドールの要求は滅茶苦茶だ。
実際、フラグライト夫妻を殺しに来ているとしか思えない。夫妻が討伐に失敗すれば、そのまま国が滅ぶのかもしれないのに、兵は出す気がない、正気であるならありえないことだと分かるが、ハムドールは正気ではない。フルブラッドに依存し、言いなりとなっている。
「すでに、もう発表しちゃったんですよねぇ。あなた方が二体の魔王を討伐しにいくって。息子が王を殺そうとするせいで王は兵士を出すことができない、そのことに責任を感じたフラグライト夫妻は、二人の勇者は魔王を討伐しに行くんですよぉ」
「ふざけんじゃねぇ!! 流石にドタマに来たぜぇ!! てめぇがハムドールを操ってんだろ!! てめぇを殺せばカタはつく!!」
怒りにまかせ剣を構え、フルブラッドに向けるバルトロナス。
「な! お前! 本当に殺す気だったんだ!! フルブラッドの言ってたことは本当だったんだ! 優しいやつに見えてもバルトロナスは野獣だって! キレたら豹変して簡単に人を殺す恐ろしいやつだって!!」
「人をぶっ殺した! 自分の身内を三人もぶっ殺した! てめぇの言えたことかよ!! 許さねぇ! お前みたいなのは生きてちゃいけねぇんだ!!」
「は? ぼくは身内なんて殺してない!! そんなこと言うならもういいよ! お前のせいだ、お前のせいで大事な国民を殺さなきゃいけなくなっちゃった。お前がぼくの言う通りに魔王を討伐しにいかないなら……国民を兵隊にして、兵を増やして、そいつらを魔王討伐に向かわせなきゃいけない。緊急時だから、徴兵できるんだって」
「なん……だと?」
ハムドールが完全にイカレた指針を打ち出す。ロクに訓練もされていない状態の国民を兵士にして魔王討伐に送り込む。そんなことに意味なんてない、だがハムドールは実際に実行してしまうだろうという確信があった。その確信はフラグライト夫妻も得ていた。自分たちが行かねば大量の死者が出る。ハムドールは戦う力のない国民を人質にした。
ここでハムドールを殺しても、どの道魔王討伐はしなければならない。戦力を魔王に集中、ムーダイルを除くフラグライト家全員で魔王討伐を行った場合、その間に国は崩壊し、国民に多大な犠牲者が出る。魔王が実際に来てもそうなる。魔王討伐に行かなくてもそうなる。
「なるほどな。どのみち俺達二人は魔王を討伐しにいかなきゃならんみたいだ。だが、お前らを生かす理由もねぇだろ?」
バルトロナスが剣を投擲した。剣が玉座へと突き刺さる。
『ははは! 危ないお前らにぼくが本当に会うわけないじゃないか! ぼくがどこにいるかもわからないんだろ? ぼくを探している間に、どれだけの命が! お前のせいで消えると思ってるの?』
「幻影の投影魔法か……クソッ……ディーシャ、あの子らは嫌な時代に生まれちまったな。だけど、せめて未来は俺達で繋ぐぞ」
「ええ、そうね……死ぬ時は一緒だなんて殺し文句を言われて、本当にそうなるなんて、あの頃は思いもしなかった。聞きなさい! ハムドール! 国民を盾にする考えでこれからも凌いでいけると思ったら大間違いよ! うちには大事なもののためならそんなことをまるで気にしない問題児がいるからね!
私達は天国へ行くからお前とあの世で会うことはないでしょうけど、あんたはロクな死に方しないし、地獄に行くよ。そして、あんたはあの世で大好きな母親にも会えない、あんたと違って天国だろうからね!! ざまぁ見ろ! クソ野郎!!」
『うるさい!! うるさい! うるさい! うわあああああああああああああああ!!!』
わたしは彼らのやりとりを見て、自分に流れる血について考えさせられた。高潔な精神と勇気を持つ者、相対する醜く邪悪な、受け入れがたい、狂った存在。穢らわしいそれがわたしの父で、眩しく輝くのがムーダイルの両親。その落差から、自分は彼らとは違うのかもしれないと思った。わたしは腹の底で荒ぶる激情を完全に押し殺し、愛する者の父と母が死にゆく様を黙って見過ごした。目的を果たすために、敵に情報を与えないために。心を持たぬ、壊れた人形のフリをした。
そしてフラグライト夫妻は、魔王討伐へ旅立った。夫妻は勇敢に魔王へと挑んだが、敗北し、死亡する。二つの命を糧に、破壊魔法を発動した。しかし……魔王は倒れなかった。けれど、破壊魔法の放つ光は天高く空を突き抜け、魔王を撤退へ追い込んだ。魔王は侵攻を中断した。勇者の二人は数多の命と、愛する家族の未来を繋いだのだった。
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