詩「眠る夕暮れ」
傾く太陽
くたくたの世界に
青が広がっていく
帰ろう
ブレーキランプは
時間を止める
ぼくは
いつかの
どこかの
誰かを
ふと
思い出す
後ろ姿
ギザギザの砂埃
蜜のような
悲しい香り
木枯らし
耳が痛くなって
頭の奥に尖った音が鳴って
夕暮れはますます深く
扉がぼくたちを隔てていく
さっきまでのぼく
今これからのぼく
魂というものがあるのならば
生きていることを
がむしゃらに信じるしかないと思う
胸の奥にじんわりと灯る
海に溶けていく太陽のように
水平線をかじりながら
過去は消えていくのか
明日は誰の忌日
ぼくは
ぼくという存在について
生きているという不思議な感覚を空を土を君
を見つめながら
声が聞こえて
お湯が沸いて
傾いたのぞき窓の
悲しい笑顔
死にゆくぼくにさよならを