第18話 狩猟免許②
狩猟免許には、第一種銃猟(ライフル銃・散弾銃)、第二種銃猟(空気銃)、わな猟、網猟の免許がある。加えて、銃猟をする人は銃の所持免許が必要になる。また、実際に狩猟するには、これとは別に都道府県に狩猟者登録が必要だ。狩猟免許は、狩猟をするための第一関門にすぎない。
ちなみに、免許は3年ごとの更新で、その都度、診断書も必要だ。狩猟者登録は毎年更新で、保険に入らないと登録できない。狩猟は、やろうと思い付いて、すぐにできるものではないのだ。
僕は、わな猟を受験する。
別に狩猟をしたいわけではない。職場で取得を勧められたんだ。
狩猟免許は、有害鳥獣捕獲許可を申請する際の許可条件になる場合がある。狩猟免許所持者であれば、鳥獣の専門知識を有し、安全に事故なく、鳥獣を捕獲できる者と見なされるんだ。例外的に、狩猟免許がなくても、猟具とは言えないほど簡易な罠や手どりなどであれば許可はおりる。だけど、使う猟具の詳しい説明資料を添付したり、面倒だ。
また、自分で自宅に設置する場合を別にして、個人で仕事を請け負うときに、狩猟者登録証の提示を求められることがある。保険に入っていることを確認されるのだ。まあ、猟具の人身事故なんてほとんどないんだけど。錯誤捕獲もだいたいペットだ。
田中先輩に言わせれば、「役所の申請は、形式的な書類や条件を整えれば、必ず認可がおりる。窓口で文句言うヤツがいるが、そういうヤツはプロじゃないね。お利口さんじゃない。」だ、そうだ。
まあ、確かにな。
「そうだ。眼鏡は作ったのか? 前に作るって言っていただろう。」
「あれは、運転免許の更新のためです。何ヵ月も前に更新しましたよ。視力ならギリギリセーフでした。」
「何言ってるんだ。狩猟免許の方だよ。」
「え? 視力なんて測るんですか? 自主申請だと思っていた。」
「は? どこの世界に自主申請で視力を合格にする試験があんだよ。みっともないから、視力で落ちるなよ。」
田中先輩は少し呆れた顔をして、少年に向かって『な。本当に世話が焼けるだろう?』と、大げさにため息をついた。
「猟師になりたいんですか?」
少年の質問はもっともだ。狩猟免許をとるといえば、普通は猟師になるんだと思う。
「まさか!仕事で必要だから受験を勧められたんだ。」
「いいじゃないか。猟師に転職しちゃえ! カッコいいじゃないか。イノシンの相場は1頭5000円だ。ベテランになれば、それなりに儲けられるぞ。」
田中先輩がからかうように転職を勧める。
「なりませんよ。イノシン恐いし。それに、現実には、さんざん山を登って、1頭もとれないときの方が多いですよね。」
「そんなこと言わず、ほら、鈴木くんには猟犬もいる!」
ほら?
田中先輩の視線の方向を確認する、
店先からすっごい速いスピードでシャープな体躯の犬が走ってくる。
あれは・・・
シロ!
なぜシロが掬水酒造に?
そして、突進してきたシロにそのまま抱きつかれた上に、喜びのダンス!
シロは前足を掻くようにバタバタさせ、前足をあげたまま回転しては身体をよじる。
そしてまたジャンプ!
少年がびっくりしている。
「・・・、シベリアンハスキーのショートヘア?」
少年よ。
実は、ショートヘアでなく、剃っているだけなんだ。そして、シロはハスキー犬にもかかわらず、暑い夏でも異常に元気なんだ。
店先から、ひょっこりと飼い主の川中さんが顔をだし、大きな声で叫んでいる。
「鈴木さん! すぐ行くから、買い物が終わるまで、シロ捕まえて待っててくれる?」
川中さんは掬水酒造で買物中だった。




