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堕ちた神様は復讐を誓う  作者: 夜桜満
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第三話 罪と罰

  昔、人類がまだアダムとイヴしか存在していない時、神は彼らを楽園エデンに住まわせた。

  楽園エデンは、お腹も空かなければ、喉も乾かない。争いもなく、常に平和な場所だった。それはまさに楽園と呼ぶにふさわしい場所だった。


  そんな楽園エデンの中央には二本の木が生えていた。一つは生命の樹、もしくは命の木とも呼ばれる木。

  その木になる実を食べれば、神に等しい永遠の命を得られる。

 

  もう一つは知恵の樹、善悪の知恵の木とも呼ばれる木。

  同じくその木にも実があり、その実を食べた者は、神に等しい善悪の知恵を得られるとされていた。

  しかし、知恵の実だけは神のみが食べる事を許された木の実であり、人間であるアダムとイヴは食べる事を禁じられていた。


  そんな楽園の生活も長くは続かず、楽園エデン中を騒がせた大事件が怒ってしまう。

  それこそが女が魔法を使えないという罰を与えられた事件。


  アダムの留守の間にイヴは、楽園エデンに住む一匹の蛇に唆され、禁じられていた知恵の実を食べてしまう。

  その後主である神に知られ、アダムとイヴ、そして蛇は楽園エデンから追放されてしまった。


「その後、神はアダムにだけ魔法を教え、イヴにはその生涯で魔法を禁ずる掟を命じたんだ。その後その掟は枷となり、女達は身体に魔力を貯めれなくなったんだ」


  クロムは一通り説明をし終えると少女を見た。

  少女は少し頭の中で整理しながら、クロムに疑問を呟いく。


「理不尽過ぎます。何故イヴだけが……女性だけが罰を受けるんですか」

「ちゃんと唆した蛇も罰を受けたよ。蛇から人間になった種族の国、セルパンの民も魔法は使えないよ」


  セルパン。そうクロムが口にすると、何故か少女は急に黙ってしまう。

  クロムが少女の顔を覗き込むと、先程も確認できた鮮黄色の瞳をじっと見つめた。


  女性で魔法もつかえ、鮮黄色の瞳。

  クロムは姿は違えどエスポワール先代国王、ルシェル・エスポワールと目の前の彼女を重ねていた。

  けれど彼女は神の力を持っていた副作用のようなもの。目の前の少女は違った。

  少女は神の力というものを持ってはいない。


  じっと鮮黄色の瞳を見ながら、何故彼女が黙ったのかを聞いた。


「私、セルパンの生まれです」

「え…………はぁ!?」

「セルパンから来たんです。私」

「セルパンは今、鎖国真っ只中。出る事も行く事も出来ない国家だ。なのに何故ここにいるんだ」


  少女は悲しそうな顔をしてクロムの質問に答えた。


「追放されました。私の能力と多分、魔法が原因で」


  彼女の言う通り、セルパンの国民は魔法どころか、魔法具も操ることが出来ない。


  そんな事から彼らは周りの国から距離を取り、鎖国をした。そんな国から突如魔法が使える少女が現れたら、いくら国民と言えど、追放したくなる。


  セルパンの考えが分かってしまったのかクロムは、悲しそうな顔をする少女の目を真っ直ぐと見て言った。


「とにかく帰る所も行く所もないなら、俺と来い。一人でいれば必ずさっきみたいな事が起こるからな」


  クロムは座る少女の前で跪き、彼女の手を取り言ったのだ。

  まるでその姿は素敵な王子と可憐なお姫様のようだった。


「お邪魔じゃなければお願いします」

「そうと決まれば、さっさとここから離れよう」


  まだ名も知らぬ少女の手を引き、クロムはエスポワール城跡地から出ると、城下町へと向かった。

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