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 今日は人生最大の厄日だ。間違いない。



 コンクリートを叩きつけるヒールの音が閑静な住宅街に大きく響いた。


 マンションの階段を崩れ落とす勢いで駆け上がる。エレベーターなんて待っていられない。一刻も早く部屋に戻って気持ちを落ち着かせなければ。そうじゃないと今の自分は何を仕出かすかわかったもんじゃない。


 部屋の前に立って鞄を探る。


 いつもなら直ぐに見付かるはずの鍵がこんな時に限ってなかなか見付からない。もう、なんなのよ! 苛々しているせいで探す手付きは乱雑だ。ぐちゃぐちゃになった鞄の奥底からようやく目的の物を見付け出し、そのまま鍵穴に突っ込む。勢い任せに開いたドアは反動で大きな音をたてて閉じた。隣から苦情が来るかもしれないが、今はそんな事を気にしている余裕はない。


 閉ざされたドアに凭れかかると、そのままズルズルと座り込んだ。スカートが汚れるとかシワが出来るとか、そんなのもうどうでもいい。


 真っ暗な部屋の中、私の口からは深い溜め息と共に小さな嗚咽が漏れた。さっきまで一緒に居た彼の言葉が頭を過る。




「……ごめん。俺、他に好きな人が出来たんだ」




 私は持っていた鞄をリビング目掛けて力一杯投げ付けた。ムカつくムカつくムカつくムカつく!! なんなのよもう! 信っじらんない! ありえない! 超ムカつく! しね!!



 高瀬たかせ理央りお二十七歳。


 本日、結婚を約束していた彼氏にバッサリとフラれてしまいました。

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