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23話 無性におっぱいが揉みたくなる

「ネフェリム、レフォン。頼む!俺に金貸してくれ!」


 俺は二人に土下座して頼み込んだ。どうしても今、金が必要なのだ。


「お、お金ですか……」


「まさかとは思うけど、アンタ何か怪しい仕事に手を染めた訳じゃないでしょうね?」


「そ、そんなことはしていない! 頼む、どうしても必要なんだ!」


「ま、まあワタルには普段お世話になっていますし……」


「レフォン……!」


「ちょっと! 離れて下さい、気持ち悪い!」


 レフォンの腰にしがみつこうとしたは思い切りはね飛ばされた。

 しかしネフェリムは……


「でも……私、この前の慰謝料全部持っていかれちゃったからお小遣い無いんですけど……」


 アンデッド事件の被害者に当てた慰謝料で殆ど消し飛んでしまっていた。


「頼むレフォン!」


「仕方ありませんね。それで、幾ら必要なんですか?」


「金貨十枚!」


「そ、そんなに!?」


「ああ、そうなんだ。俺の今後の生活に関わる問題なんだ!」


「そ、そこまで言うなら……それで、何に使うんですか?」


 レフォンが財布から出した、金貨十枚を受け取って答えた。


「人形が欲しい!」


「「はっ?」」


 二人は俺が何を言っているか分からないようでぽかんとした表情を浮かべた。


「に、人形って……!くくくっ……」


「人形なんて私でも欲しがりませんよ……」


「それでも、俺にとっては命の次に重要なんだ!」


 勿論、俺に幼稚園児の女の子が好むようなメルヘンな人形を愛でる趣味など無い。

 俺には人形をどうしても手に入れたなければならない理由があるのだ。


 ――――――――――――――――――――――――


「…………不完全燃焼だ」


 深夜、自室で()()()()()時の事だった。

 異世界に来てからずっと俺のなかで抱えていた問題がある。

 そう、()()不足である。

 日本というこの世界より遥かに発達した環境で生活してきた俺にとって、これは深刻な問題なのだ。

 スマホ一つあれば()()()()()が手に入る。

 それはもう素晴らしいものだった。この時代に産まれてきて幸せだったと心の底から思えた。

 しかし、今はどうか。スマホはあっても電波は繋がっていない。供給不足である。これでは気持ちよくなるものもならない。

 この世界にはグリモワールという素晴らしいものが存在しているが、そのような物は一切出てこなかったのだ。

 今まで俺は想像のみで溜まっていく()()を解放していた。

 しかし、想像のみで()()()()()のも限界が来た。

 同じような想像しか出来なくなってきたのだ。使い果たした具材に飽きていった。

 同居している女が二人いるだろう。襲っちまえよなんて思う奴がいるかもしれない。

 そんな事をしてみろ。どちらを選んだにしろ再起不能間違いなしだ。

 だから、俺はこの世界で新たな()()を求めるべく、グリモワールのページを捲り続けた。


「こ、これは!!」


 なんということだろう。画期的なものがあるではないか。世の漢の為に作られた素晴らしい技術が。

 流石は異世界。想像の斜め上を行くアイテムだ。

 いやはやしかし、これを考えた奴は天才じゃないのかと言えるレベルだ。

 しかし、価格は……なかなか高い。


 ――――――――――――――――――――――――


 というのが、レフォンに金を借りた経緯だ。

 自らの性欲を満たす為だけに、年下の女の子に金を借りるなど、非道であることは承知の上。

 しかし、そんなものがあると分かれば大人しくせずにいられるか、いやない!


 そして辺りも暗くなり、人々が寝静まる頃。

 待ちに待った、パーリータイムだ。

 俺は部屋で大量の金貨を持ち出し、外出の支度を整える。

 クエストやらバイトやらで手に入れた金貨五十枚。

 俺の全財産の金貨を全て袋に入れ、盗まれないように腰のベルトに結びつける。

 金貨五十枚はかなりの大金だ、これなら例のものを買うのに足りるだろう。

 俺は二人を起こさないよう、忍び足でこっそりと宿から抜け出した。

 床のきしむ音がうるさかったが無事に外に出ることができた。


 グリモワールで確認した地図を頼りに、例のアイテムを販売しているという秘密の店へと向かう。


「ここで間違いないよな?」


 辿り着いた先は至って普通の雑貨屋のようだ。カモフラージュだろうか。

 それにこうゆう妖しげな店は行ったことがないから緊張する。

 俺は唾を飲み込み、ドアノブに手をかけた。手汗が吹き出て滑る。

 俺は一旦ドアから離れ、深呼吸をして店の中へと入る。


「いらっしゃいませ!」


 店の中からお姉さんが迎えてくれた。格好は至って普通だ。

 内装も特に変わった所はない。ここが本当に例の店なのだろうか。

 もしかして俺はグリモワールの情報にまんまと踊らされたのではと思った直後だった。

 

淫楽解放いんらくかいほうサービスのご利用は初めてですね?」


「へっ?あっ……はい」


 淫楽……?解放……?

 ほ、本当にあるのか!?


「ではまず当店のご説明からさせていただきますね。当店では、淫楽解放魔導自律人形いんらくかいほうまどうじりつにんぎょう【グリモドール】のレンタル及び販売を行っております。こちらをご覧下さい」


 店員に着いていくと、そこには数多の美人な女性の数々がその場に連なっていた。


「こ、これって!まさか……」


「ええ、グリモドールです」


 そう、これこそが俺の求めたものだ。

 かなり精巧に作られていて、パッと見では本物か人形か区別がつかないリアルさだ。


「レンタルではこの中から自由にお選び頂けます。人間だけでなく、獣人族、エルフを始めとする妖精族、更には珍しい悪魔族に龍人族。ちょっとマニアックな特殊性癖持ちの方向けにアルラウネやメデューサといったモンスターもございます。あとちょっと罰当たりですが……神話の女神様なんかもございます」


「多種多様な種族に加えて、好みの体型や服装まで……!? 凄すぎる!」


 年齢もロリからグラマー美女と言ったものが用意されていて、この業界に対しての製作者の本気度が伺える。

 一応、全ての人形に服は着せられているが、その下も本物と相違ないのだろうか。

 いや、本物を見た事はないのだが。


「レンタルは一回三時間で銀貨十枚です。購入はお値が張りますが……金貨五十枚となっています」


「金貨五十枚か……」


 今の俺の手持ち全てか……。

 買えないことは無いが、後の事を考えるとなかなか踏み出しにくい。

 俺がずっと悩んでいると、店員のお姉さんから悪魔の囁きが。


「お客様……。今までにグリモドールを、購入されたお客様の満足度は百パーセントを記録しております。購入ですと、種族、名前、体型、髪の色、目の色、性格、口癖、など他にも細かな設定が出来、お客様のお好みの女性を再現する事が可能です。購入してお客様に損をさせるなんて事は決してありませんわ……」


「買います」


 俺は即決した。

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