プロローグ
異世界転移ものです。
俺は廻東渡。
歳は十七、普通の童帝高校生だ。
今日も今日とて、いつも通りに学校へ行っては家に帰り、夜までゲームして朝まで寝てまた学校へ行き……と大半の男子高校生が送るであろう日常だ。
ハッキリ言って……
「つまらん!」
制服姿のまま家に帰る途中、空に向かって叫ぶ。
すると、俺の後ろにいた女子生徒二人が。
「え……何あれ?」
「あの人、確か同じ学年の害東じゃない?」
「え? 誰よ? そんな人いたっけ?」
と、いつの間にか後ろにいた同級生に俺の号哭を聞かれてしまった挙句、女子には俺の存在もほぼ忘れられていた有様だ。
クソが。こんな世界消えてしまえ。
道端の石ころを拾って、遠くの一時停止の標識を的に投げた。
が、俺の腕力ではそこまで届く事無く地面に落ちる。
「はぁ~人生つまんねぇわ」
俺の小学生の時は人間に生まれてきただけで勝ち組! とか思っていたのに、いまでは鳥や虫のほうが気楽で良さそうと思うようになってしまった。
知性は時に最大の枷となる。思考力というのは自分を追い詰めるものでしかない。
友達もいなければ彼女もいねぇ。
俺が虫なら今頃、適当に生きているだけでその辺の雌と交尾できんだもんな。その方が人生イージーモードじゃねぇか。
と、思ったが側の草むらで雄のカマキリが雌のカマキリに捕食されているのを見て、やはり人間で良かったと思い直す。
というか、そもそもだ。
俺がモテないのはそもそも生まれつきの顔に問題がある。
つまり産まれた地点で人生の一部は決定してしまうような物。
「要するに遺伝子が悪い」
俺はそう結論づける。
俺がイケメンじゃないのも遺伝子のせい。運動神経が悪いのも遺伝子のせい。そして、頭が悪いのも全て遺伝子のせいだ。
どうです、皆さん? 今自分の親に舌打ちをしたくなったでしょう。
そんな生涯孤独……じゃくて孤高の俺は一人ブツブツと呟きながら家まで歩いていた。
と、考えながら歩いているうちに家に着いた。親は共働きなのでこの時間帯には家に誰もいない。
ポケットから鍵を取り出して、差し込むと……
「なっ、なんだこれは!」
玄関の鍵穴から突然七色の光が飛び出してきた。
光は規則的に変形していき、やがて立体的な円形へと変わっていく。中には幾何学な模様が出来て……まるで魔法陣のようだ。
最新のプロジェクションマッピングだろうか。
「誰だ! うちの玄関にこんなの仕掛けたやつは!」
後ろを振り返って見ても、誰もいない。そして魔法陣を映し出している投影機らしき物も見当たらない。
それにしても、一体どういう技術なのか、この魔法陣。
どの角度から見ても、全く同じ魔法陣になっている。
触ってももちろん実体は無い。
「これどうなってるんだ? まあ、いいか」
とりあえずへんな立体映像は無視して鍵を捻って、玄関の扉を開くと……
「…………は?」
そこには果てしない青空が広がっていた。
初執筆なのでお見苦しい点があるかもです