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短編集  作者: 石月 ひさか
AV上映会
27/28

3


それから数日後。


またしても性欲が溜まってきた公一は、イライラしながらテレビを見ていた。


あれ以来、なんとなく気が咎めてしまい、金を払う場所に行けなくなってしまった。


その為必然的にモヤモヤしてしまい、渋い表情になる。


さらには深雪は平気で薄着をして隣に座っている。


チラリと横を見ると、白い太ももや胸の谷間が自然に視界に入った。


せめて見えない様に気を使えないものだろうか。


軽く舌打ちし、テレビに視線を戻す。


その時ちょうど濡れ場のシーンが流れ、逃げ出したい気持ちになった。


深雪も顔を赤らめているかと思ったが、意外にも平然としている。


公一の視線に気付き、首を傾げる。


そして何を思ったのか、寄り添って手を握ってきた。


「な、なんだよ急に!?」


思わず飛び上がるように身を退いてしまう。


葛藤を知ってか知らずか、深雪はしれっとしながらこんな事を言ってきた。


「興奮したんだと思って。ほら、キスだけならしてもいいぞ」


はい、と顔を突き出され、公一は赤くなりながら体を離す。


「バカ言ってんじゃねぇよ!」


吐き捨てる様に言い、背を向ける。



「なんだよ、バカバカって!キスなんていっつもしてるだろっ」


「そういう事じゃない!本当にバカだな!」


全くわかっていない。


余裕のある時なら、可愛い奴だと頭を撫でられるが、今は無理だ。


キスだけで終わらせる自信がない。


不満そうな顔をする深雪を見ないようにし、立ち上がる。


とにかくこの場を離れ、処理だけでもしなければ。


深雪に気付かれないように。


「俺、ちょっと部屋行ってる。課題あるから」


「わかった」


テレビを見ながら返事をする深雪を見つつ、部屋に入ってドアを閉めた。


理由は決まっている。

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