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短編集  作者: 石月 ひさか
恐怖を感じない理由
13/28

そんなある日、近藤公一の話を噂で耳にした。


まだ高1だが、ここいら一帯を牛耳っているらしい。


決して珍しい苗字ではないが、偶然同じ『近藤』であるという事も気になった。


もしもその『近藤』に勝てれば、自分は本当の男になれるかもしれない。


そう思った。


だが深雪は負けた。


正しくは、第三者の乱入により、負かされた。


公一は仕返しだと根性焼きをしてきた。


更には彼の仲間に女だとバラされ、情けまでかけられた。


腹が立った。


あの時程、自分の名前も性別も全てが疎ましいと思った事はない。


だけど憎いと思う反面、憧れていたのだろう。


自分と3つしか変わらないクセに、公一に逆らう奴は殆んどいない。


深雪が欲しい物を全て持っている。


この怒りはきっと、妬みだろう。


だが正直、仲間になりたいとも思った。


だから手を差し伸べてくれた時は嬉しかった。


ライバルだと言ってくれた事も。


「お前、俺の仲間になるか?」


一戦終えた後、公一は笑みを浮かべ、右手を差し出した。


深雪は素直にその手を取った。


いつかこの男を、負かしてやりたい。


跪かせ「負けた」と言わせてやりたい。


その為には側にいたほうがいい。


「まぁ、アンタがどうしてもっつーならな」


素直に尻尾を振って付いて行くのが嫌で、軽く憎まれ口を叩いた。


だが公一奴は「素直じゃねぇな」と嬉しそうに笑った。


なんとなく、顔が熱くなった気がした。


それから2人は無敵のコンビになった。


行動範囲を広げ、色々な奴を殴り、跡を残した。


一緒にいると、必然的に話すようになった。


初めは当たらず触らずな会話ばかりだったが、公一はぽつぽつと自分の話をしてくれるようになった。

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