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王城奪還作戦

全ての教会の制圧に成功し、軍はオヤミ地区の教会を本部として、王城攻略の作戦を練っていた。


「そうか。キッドが死んだか」


「はい」


キッド死亡の報告は私たちを監視していたエリアがすでに行っていたが、私からも直接に報告を行った。


アンビエントは無表情のまま首を振り、エリアも表情を消していた。


「アサヒ。キッドの死は君の甘さが招いたものだ。君はキッドが一般人を撃つのを容認するべきだった」


タナトス隊長は、ゆっくりと私に言い含めるように言って聞かせた。


「他にも説教の山ほどもあるが、あいにく今は戦時中だ。時間がない。端的に答えろ。君は斬れるのか?」


タナトス隊長は、大鎌を構えた。


斬れないと言えば、隊長は私を斬るのだろうか。


この人なら、できるかもしれない。


私は会議室の上座にいる姫様に目をやる。


私は姫様のためにすべてを捨てることができるのだろうか。


他のすべての命をゴミ屑として捉え、刈り取ることができるのだろうか。


先ほど隊長に聞かれたときは、自分の中で曖昧な答えしか出さなかった。


そのせいでキッドは死ぬことになった。


もしキッドが姫様だったら。


あそこで私の隣にいたのが姫様だったら、私は少女を斬ることができただろうか?


少女を見逃し、そのせいでクーデターの原因をつくり、もう1人の少女の命を守ろうとしたせいで同僚が死んだ。


命は当価値ではない。


私は自分の心に問いかける。


死神部隊を追放され、あてどもなく街を彷徨っていた私を拾ってくれた姫様。


私に幸せというものを教えてくれた姫様。


彼女のために、あらゆる罪悪、憎悪を背負う覚悟はあるのか。


答えは


「斬ります」


答えた瞬間、自分が変化していくのを実感しました。


自分の心が凍り、視界がハッキリとクリアになります。


「そうか」


隊長は頷き1つで私の答えを受け入れました。


「なら、斬れ」


タナトス隊長はそれだけ言うと、大鎌を床に降ろして王城への攻撃作戦の立案をつづけました。






『王城奪還作戦は、死神部隊による3方向からの同時攻撃により開始されます』


作戦開始位置に移動する間に、軍の兵全員にエリアが作戦を伝達している声が響きます。


『正門からタナトス隊長が突入、アンビエントは裏門から侵入し城内に侵入。できる限りの騒ぎを引き起こしてもらいます。


初撃を与えた直後、アサヒが城内に侵入し、最重要目標である聖女の捜索、殺害を行います。


兵のみなさんは、アサヒが聖女を暗殺するまでの時間稼ぎを行ってもらいます。アサヒと同タイミングで王城に突撃、敵主力を引きずり出します。


王城には多くの騎士が詰めており、激戦が予想されます。ですが、この作戦を成功させなければ我々が勝つチャンスは消えます。


必ず作戦を成功させなければなりません。よろしくお願いします。細かい作戦地域や内容は、部隊長より伝達されます。それでは、幸運を祈ります』


タナトス隊長は、私に聖女暗殺を任せてくださいました。


期待に必ず応えなければなりません。


作戦開始位置、王城の正門前に立ちます。


『こちらタナトス。これより、王城奪還作戦を開始する』


タナトス隊長の静かな声が、大規模な作戦の始まりを告げました。


いよいよ最後の戦いが始まります

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