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平穏な日々

ぬかるんだ地面に、ブーツがめり込む。


降りしきる雨が視界を奪うが、視界にはしっかりと標的をとらえていた。


と、目の前を走る標的が地面に脚をとられたのか、それとも体力の限界だったのかこけてしまう。


顔から地面に突っ込んでいった標的に駆け寄る。


すぐに腰から剣を抜き、振りかぶる。


そのまま一気に……!





目が覚めた時、外はまだ暗かった。


私は急いで支度を整えると、部屋を出て厨房に向かいました。


厨房ではすでに、多くのメイドが働いています。


私はいつものように彼女たちに挨拶すると、姫様の部屋に向かいました。


まだ鶏も鳴かないような朝ですが、どういう訳か姫様はこの時間に起きることを自らに課していました。


私が姫様の部屋をノックした時、姫様はもうすでに起床していました。


「入れ」


幼くも威厳のある声です。


私は部屋に入り一礼します。


姫様はすでに着替えも済まされており、私がやるべきことはないように感じました。


「朝食をお持ちしましょうか?」


「そうだな、持ってきてくれ」


姫様の言葉に頷き、私は再び厨房に戻り、姫様用の朝食と私の朝食を受け取り、姫様の部屋まで運びます。


私がテーブルをセットすると、姫様はスルリと席に着き、私にも着席を促しました。


私はそれに答えて着席し、一緒に朝食をとることにします。


「君、祭りは好きか?」


「は?」


唐突な質問に、私は思わず間抜けな声を漏らしてしまいました。


「祭だよ、祭。聖堂教会のほうから連絡が来たんだ。聖女の誕生日を祝うために、大規模な祭りを開くらしい」


「私はあまり参加したことがありませんので。姫様はどうなのですか?」


「祭が嫌いな子供などいるものか。君と周ることができればいいのだが」


姫様はニッコリと笑って、そう語りかけてくれます。


「姫様がそれを望まれるのであれば、なんであれ叶えて見せましょう」


「やれやれ。君はすばらしい、非の打ち所がないメイドだが、その堅苦しいのだけは欠点だな」


「申し訳ありません」


そこで祭に関しての会話は終わり、私と姫様は他の他愛もない話をして朝食の時間を過ごしました。





朝食が終わると、私はしばらく他のメイドと混じっていろいろな仕事を、姫様はお稽古をなさります。


午後からは姫様のおそばに付き政務のお手伝い、様々な教養科目の教授、乗馬の訓練、自衛のための格闘術、剣術の指南をさせていただきます。


姫様は政務やお勉強は大変よくできるのですが、どうも体を動かすことが苦手なようで、いつ姫様が落馬しないかと冷や冷やしながら指導をしなければなりません。


落馬したら、滑り込んでこの体をクッションにして姫様をお守りすることも辞さないつもりです。


幸いにして今日はそのようなことはありませんでしたが、私の身体にいくつか痣があるのはそういう訳だったりします。


「まぁ普段は君がいるから大丈夫だろう。乗馬も君の前に乗っけてくれれば安心だ」


姫様は乗馬や剣術が苦手なことに関してはこのようにあっけらかんとしています。


私を頼りにしてくれるのは大変うれしいのですが、いざというときがとても不安です。


日が暮れますと、姫様のお仕事は終わりとなります。


夕食も私が料理をお部屋に運び、一緒に食べます。


姫様が食べ終わると、少しお勉強をして、それから姫様は御就寝されます。


私はそれから他のメイドたちと一緒にお皿洗いや城内の掃除などを行い、夜遅くになってから自分の部屋に戻ります。


何の面白みもないような普通の生活ですが、私は今がとても幸せだと感じています。


明日もこのような日々が続くことを祈り、私は目をつぶって眠りに落ちました。

久しぶりの新連載、死神の剣スタートです。


今回は完結まで持っていくので、ぜひぜひ最期まで読んでみてください。

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