1/1
零
此処は何処だ?
真っ暗な空間で目を覚ました。
上も床も、左も右も…ひたすら真っ暗で。
ひんやりとした床。
ひんやりとした空気。
「…?」
微かにノイズ音が聴こえてくる。
ずっと此処に居る訳にはいかない…。
ゆっくりと立ち上がり、音のする方に足を進めた。
歩くたびにノイズ音が近付く。
そして…。
「…」
そこには1つの部屋。
薄暗く、柱には棘が巻き付いて居る。
赤い薔薇、白い薔薇、黄色い薔薇。
椅子。
中央にはキングチェア。
そのキングチェアには、人。
小柄な体が目にはいった。
少女、だろうか…。
警戒しながらも、ゆっくりと近付く。
「…え…?」
少女は…。
「私…?」
私だった。
全部全部全部、私だった。
フラフラと少女に近付く私。
どう見ても、何処を見ても、私だ。
私は少女の前に立った。
「訳、わかんない…」
クラクラとする頭に声が響いた。
「そうだよねぇ…♪」
先ほどまで目を瞑っていた少女が笑った。
反応が遅かった。
ドスン、と何かが体を貫いた。
「あ…」
少女の手だ。
「まだ早いよ、君が此処に来るのは」
少女は不気味に笑った。
「じゃあ、またね♪私…?」
ーーブツンーー
その音と同時に気を失った。