商都の入城
棒を回収し、トロルの死体を棒でつつく、やはり縮んだ。緑の巨体が、野球のバットほどの棍棒らしき物へと姿を帰る。仮想視界で視ると
棍棒
やはり棍棒だ。しかし相変わらずひのき?の棒は未だになんだか分からない。恐竜車に戻るとマンは少々興奮している。
名前─マン─男─18才
天職─耕作人LV15
行商人じゃないのか、女ならブラウーマン…いやブラウウーマンなのか?そういやブラジャーってあるんだろうか。無かったら皆すぐタレパイになるな。仮想視界を閉じる…。
「いや~お強いですね~流石です!まさか一撃で倒してしまうとは~」
「まぁな、かなり驚いていたようだが、トロルはそんなにやばいのか?まだ村から遠くないから一応連絡した方がいいんじゃないか?」
「いえいえ~大丈夫ですよ~村までモンスターが入る事はまずないですし、トロルでも村の男衆が総出でかかればなんとか倒せますから」
「ふむそうか…一応鎧を装備していいか?魔物が出ると思わなかったんで正直気を抜いていたんでね」
「どうぞどうぞ~しばらく停車しますね。あれ?でも鎧なんて持ってましたか?」
袋から鎧一式を取り出す。ついでにバーバの家から頂いたパンをだしてほおばる。ちなみに元々着ていたワイシャツとズボンに財布も袋に入っている。便利だなぁ~。胴鎧には紐がついていて背中で縛る要領だ。昔やったことのある日本拳法の防具と似ているので、割とすんなり装備できた。世の中何が役に立つか分からんな。他の装備も少々戸惑いながら装着する。念のためステータスを確認する。
状態─所有物─装備品─黒曜剣─赤土石の面─赤土石の胴鎧─赤土石の篭手─赤土石の足甲
きちんとそうびしている。石の面はおでこだけを守っているので視界はいい。しかし結構重いな。うろ覚えの地撃の形をする。左面突き、右面突き、左面突き、右胴突き…次は蹴りだっけか?やっぱり忘れてるな。形をやり終えたが、何の問題もなく動けたし、体の性能が上がっているせいか順番はともかく今までで一番上手くできた。まぁ形を上手くやろうとするなと先生に言われたことがあったのを思い出したが、いまだに意味が分からない。とりあえず恐竜車に乗車する。
「いや~お見事!拳術ですねっ!」
「大した事はない」
実際人に見せるほど形は上手くないのだ。
「そんなご謙遜を。それでは出発しますね~」
「ところで、この仕事始めてどのくらいなんだ?普段モンスターでたらどうするんだ?」
「ははっ!恥ずかしながら父の跡をついでまだ一月なんですよ~それにいつもはせいぜい緑小鬼や角兎程度しか出ませんからね~裸竜の足ならすぐ逃げれるんですよ。まぁトロルも落ち着いて~対処すれば逃げられるんでしょうがね~まだまだ経験がね~」
確かにミニティラノ─裸竜は早い。荷車と人間二人を引きながら、体感で時速60kmくらい出してる。
「そうか大変だな」
「あっそうだ!今アイテムボックスを使いましたね~うらやましいな~僕まだ行商人に転職してないから使えないんですよ~あれっ?東騎士ってアイテムボックス使えるんですね~騎士なのにすごいや。まぁ聞いた事ないジョブですが~」
「この辺にはいないのか。それとこの辺ではどうやって転職するんだ。」
ハローワークが有るんだろうか?
「まぁここら辺だと、ウォカの神殿に行って転職しますね~でも村の殆どの人は死ぬまで畑耕すんで転職なんてしませんね。まぁ~例のガキ大将なんかはたまに迷宮に潜りますがね~」
「ふ~ん何人ぐらいであの穴熊倒せるんだ?」
「クマって一番奥にいるとかいう奴ですか?村の古老の腕一本奪って仲間3人死なせた怪物ですよね?そこまでは無理なんで緑小鬼を何匹か倒して終わりですよ~それも6人がかりでね」
「はて?俺が入った時は一番奥にしか出口が無かったが?」ダンジョン脱出呪文があるのだろうか?
「…一人で入りなさったんですか…ホントお強いですね~普通は最低でも3人最高で6人で入るんですよ~5匹くらい緑小鬼倒したら終わりです。村のダンジョンの作法は、一人で入ると入り口から出られなくなるって物らしいですね~」
はて?俺達は一応二人で入ったんだが?そういえばやつの死体はどうなったんだろうか?完全に忘れていた、若干申し訳ない。
「作法ってなんだ?この辺の方言か?」
「あぁお故郷では違う言い方をするんですか?作法ってのはダンジョンのルールですね~一度に入ることの出来る人数とかですね。その作法を守ったり破ったりすることで、モンスターが強くなったり、ダンジョンのお宝がスゴくなるらしいですよ~なんでも20年前にいらっしゃった黒髪の…ってソウドさんも黒髪ですね~親戚ですか?とにかくその人が村のダンジョンの作法を解き明かしたそうで一人で入るな、弱い奴は入るな、金を持って入るなっていう、まぁ当たり前っちゃ当たり前のことなんですがね」
パーティーの総合レベルや所持金が関係しているんだろうか?
「親類ではないな、まぁ多分同郷だ」
会ったことのある親戚は伯父・叔父・叔母二人に従兄弟だがもう亡くなっているし、全員三回忌もやったので、もう近い親類は一人もいないのだ。そんなことを話していると道が二つに別れる。立て看板には見たことの無い文字が…しかし読める。都合のいいことだ、まぁ文句は無いが。
左─商都 ウォカ迄100メル
右─南町 アイリシュ迄10メル
俺達の来た村の名前は書いてない…相当田舎なんだな。名前もあるか怪しい。
「ソウドさん実はお願いがあるんですが~このままウォカまでいっていいですか」
「別にいいがアイリシュに用は無いのか?」
「へぇ~文字もお読みになるんで。いや普段はアイリシュで護衛を雇ってから行くんですがね~ソウドさんなら野生モンスターなんて一撃でしょ~」
護衛との付き合いとかいいんだろうか?信頼関係は継続して雇わないと形成されないのではないだろうか?それに俺がこの車を奪おうとしたらどうするんだろうか?前科が無いからといって、魔が差さないことが無いわけではないだろうに…商売人に向かないんじゃないかこいつ。
「努力するがな…しかしアイリシュでは織物を売らないのか?」
「ではウォカに向かって、しゅっぱ~つ。いやね、ウォカだけで売った方が利益が出るんですよ~しかも南町の連中はたいした規模の街でも無いくせにけち臭くてその上都会人ぶるんですよ~」
こいつやっぱり商才無さそうだな、南町の方が近い町なんだから、急病人や凶作とかの、いざという時に備えて恩を売ったりしたほうがいいだろうに
ウォカに近くなるほどに植物が減っていき岩だらけの大地になっていく。荒野の都なんだろうか?途中で角の生えた兎やおなじみの小鬼を倒したが皆LV1だった。獲物の頭を棒で潰し、黒曜剣で胴体を切断するたびに興奮し股間の一物が硬くなる。…自分にこんな性癖があったとは、日本にいた時に目覚めなくてよかった。なおアイテムは銀貨とか毛皮を入手した。マンが銀貨を手に入れるなんてついてますね~と、言う。物価はまだ良く分からんが幸運らしい。 今さらだがボーナスに獲得金上昇があったのを思い出す。
腹が減ったので、マンが持ってきた食い物を食べる。まだ商都にカラミがいるのなら色々教授してもらいたいものだ。バーバ達に色々教えたということは、好色でも親切な人なんだろう。それに下手をすると奴にとって20年ぶりに会う日本人だ、お互い話は通じるはずだ。まぁ会えるかどうかも分からんのだからウォカに着いてから考えよう。っとなんかでかい壁がみえる。城砦都市と言う奴だろうか?壁は高さ50メートルはあるだろうか?壁の色は、赤・青・黄・緑・白・黒といった色がモザイク状に複雑に着色…というかさまざまな色の岩をくみ上げているのだろうか?
「つきましたねぇ~あれが商都ですよ~いや~無料な上に最高の護衛でしたよ!トロルまで倒しちゃうし、ホントラッキーでした!」
一言多いやつだ、いまからでも護衛代毟ってやろうか。いや、俺を紹介したバーバに迷惑がかかるか。そして門の所に着くと2人の門番がいる。参考までにレベルでも見るかな。緑の視界にも慣れてきたが、急に変えるとやっぱり目が疲れる。
名前─バン─男─26才
天職─戦士LV25
名前─ル・スン・グリン─女─15才
天職─騎士LV5
ふむ苗字らしきものが付いている小柄な女の方が騎士である。騎士の方が強いんだろうか?一応祝詞を唱えカードを出しておく。マンがバンのほうに挨拶し、バンがおや?と言う顔をする。
「今回は早いですね。そちらの方は見ない顔ですね」
「そうですね~この方のお陰で一日でこれましたよ~」
「では二人のカードを拝見…ふむ?カルマは無し…変わったジョブだ。苗字もある」
怪しまれてるんだろうか?
「旅のお方ですかね?では…この商都ウォカにおいて他人および公共の財産や自由を侵害もしくは略奪することは帝国法およびウォカ王国自治法によって、禁じられています。これらの法を犯した場合は刑に応じた処罰がなされます。よろしいですね?」
一気によく通る声で言った。おかしな法律が無いと良いが、例えばおならするなとか。
「分かった。帝国およびウォカ王国の法を遵守する」
「よろしい。なお旅人がひとつの町や村にいられる期間は最高でも一ヶ月である。それ以上の滞在には市民権の取得が必要である。また街の中において鎧は自己防衛権利のため装備を許可されるが、迷宮以外においては武器の帯刀もしくは所持は役場での許可が必要である」
まぁ当然である。アイテムボックスに剣と棒を入れる。棒はまぁ一応凶器になるのだが、それなら包丁とかも駄目だろうし、線引きが分からん。早い内に、この世界の常識を学ばなくてはならない。俺がアイテムボックスを使ってもあんまり驚かない。多分アイテムボックスの使えるジョブだと思われたのだろう。だといいな。あんまり怪しまれたくない。
「よろしい。入国を許可する」
少女騎士の方がはじめて喋った。門は最初から開いているので、入国する。入ってすぐに広場があり、夕方だと言うのにたくさんの人や竜車に馬車─馬もいるようだ─がいる。荷物の積み下ろしなんかもしている。スリに会わないようにしなくては。
「いや~すんなり入れましたねぇ~普通ソウドさんみたいな旅の人は怪しまれたりして番兵小屋につれてかれるんですがね~すぐカード見せたのと武器をしまったのが幸いしましたね~でも本当にありがとうございました~下手すりゃトロルに殺されてましたよ~これは心ばかりですが、どうぞ」
100ナル銀貨を3枚貰う。う~むやはり銀貨一枚は日本円にして1万円くらいなのだろうか?流石に命助けて300円渡すとかは無いだろう。
「それではお達者で」
「じゃあな、儲かるといいな」
挨拶して別かれる、さてこの街は結構でかいようだが、俺のこれからの指針である黒髪の男を一人見つけるのに、はたしてどれくらいかかるのだろうか?宿も見つけないとな…と、考えをめぐらせていると、真っ赤な服を来て真っ黄色の髪をした、肥満体のチョビひげ男が近寄ってきた。
「珍しい鎧をお召しになっていますね…南の村のダンジョンで入手したのですか?50万ナルで売りませんか?もしも黒曜剣をお持ちなら倍出しますよ」
1ナル=100円と考えると一億出すということか…上手い話には裏が付き物だが、どうなることやら。




