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名前の解明

俺は昼寝をしていたと思ったら、森の中にいた。道なりに進むと村について、色とりどりの髪色をみてすげぇなぁと思っていたら、甲高い声の肥満体のゲーム自慢を聞かされた。そして話を聞いてもらえず、なぜかダンジョンに入り、肥満体はすぐに死に、慌てふためき小鬼を殺し、クマらしきものを倒して脱出した。そして美少女にほいほい付いていったら、変な日本語を話す紫髪の老婆に出会った。混乱のきわみである。


「は、ハロー、こんにちは。ええと日本人ですか?」

「さて、わしの名前が分からぬか?この辺に出とらんか?」

右肩あたりを指す、仮想視界の事を言っているのだろうか?緑の視界を起動する。


名前─バーバ─女─36才

天職─織姫ヴェガLV30


見かけと違ってとずい分若いな…レベルも高い気がする。まぁ他の人間のレベルなど知らんのだが。

「バーバさんですか…ええっとお聞きしたい事があるのですが、よろしいですか?」

「ふむ、やはりそう言う男か。まぁ別にかまわんよ。ちなみに普通の人間は、他人の名前や歳はわからんぞ」

「そうですか…ええっと先ほど日本語?を喋っておられたのですが、日本人ではないんですよね?」

「20年ほど前にそなたと似たような男が来たのだ。さっきのはそやつから教わった。話せば長くなる、座って話そう。バーナこの人に合いそうな服を持ってきなさい、それと座布団もな」

「えっ!いいのお母さん?」

「大丈夫だろうさ、血まみれの服と棒を持った男でも見かけで判断してはならんよ」

「は~い。じゃあ服とか色々もってきま~す」

そういえば俺の服は偽クマやら小鬼やらの血に塗れているし、同じく血に染まったひのき製らしき棒を持っている。正直怪しい、というか警官から職務質問後に連行コースだ。

「ええっと服はおいくらでしょうか。ダンジョンで手に入れた金貨があるので、それで払えますかね?」

ここがジンバブエなみのインフレでないといいのだが

「ふむ金貨を得たか。才先がいいな。服の事なら気にする事はない、わしは織物を作って生計を立てているのでな、服など売るほどあるのじゃ」

「は、はあ。ではお言葉に甘えて、あの20年前にきたと言う男についてお教え願えますか?」

「そやつはな、突然この地に訪れた。不思議な術…魔法とも違うなにか妖術のようなものを使った。人の名前や歳を言い当て、ダンジョンを攻略しこの田舎の村に多くの富をもたらした。わしの織物の技術もそやつに教わった。おかげで村一番の金持ちじゃ」

そんな事を聞いていると、バーナ嬢が座布団と服を持ってきてくれた。

「着替えてもかまわんぞ。どうせわしは大して目が見えん。バーナお前は外に買出しにいきなさい」

「は~い」

真っ黒な服に着替え座布団にすわり、濡れ布巾で血を拭う。バーナ嬢は俺のような怪しい男と目の不自由な母親を二人っきりにしていいんだろうか?いや結構レベルが高いから戦っても大丈夫だと確信しているのだろうか。

「さて、どこまで話したかな」

「織物の技術を教わってお金持ちになったという話ですね」

「すまんなおぬしにも聞きたい事があるだろうに、まぁ余計な話がほとんどかもしれんが許してくれ」

「いえいえ…いろいろお世話になっているわけですから、それに正直なにを聞くべきなのかも分からないしだいでして…」

「とにかくわしはそいつに金持ちにしてもらった。それからそいつは村で一ヶ月ほど暮らしておったが、わしとはその時に色々と話しをしたのじゃ。そんな有る日、元の世界に帰りたいと言い始めた」

「元の…世界…」

「わしは何のことか分からんかったが、父に会いたい母に会いたいと、涙ながらに語っておった。わしは帰りたいなら帰ればいいといったが、どうも難しいらしかった。それでわしと村の者は、恩返しとばかりに、ならば帝都に行けばいいといったのじゃ」

家族か…まぁ俺にはもう残っていないが、いるんなら帰りたいだろう。老婆は話を続ける。

「あそこならば、わし等よりよほど賢い方がいるから、迷子の一人位何とかなるじゃろうっとおもったのじゃ。そして帝都に向かってからは、一年ばかり手紙のやり取りをしたが、有る時手紙は帰ってこなくなった。死んだのかそれとも家に帰ったのかは謎じゃ。まぁようするに、わしと村の者は、その男に得をさせてもらった。おぬしを世話しているのは、もしかしたらまた得をさせてくれるのかと言う下心からじゃな」

下心とは言うもののバーバさんの視力の衰えた目は、なんだかさびしいような悲しいような目をしている。

「なるほど…ユーピース・オンラインとかユーピンと言う言葉に聞き覚えはありますか?」

「ここはユーピィンなのか?ということをよく聞かれた。意味は知らん」

「なるほど…ちなみにその人のお名前は?」

「カラミと名乗った。どうも本名は別らしいが、わしには聞き取れなかった。ヒィジェだかジェカタとか言うらしいが、そう言えばおぬしの名前はなんと言うのだ?」

「あぁ申し遅れました。私は@#`#`#と言います、ってあれ?」

まともに発声したが、どういうわけか、この世界の言語には翻訳されていないのだろうか?意味不明な感じだ。

「やはりそうなったか。よくわからんが、おぬしの国の言葉…やつは名前だけが翻訳されないとかなんとか嘆いておった。しかしこのあたりで生きるならば名前はいるぞ?さっさと適当な名をつけてしまえ」

「ええっとそれじゃあ…ソウドというのはどうですか?」

箱の中の黒曜剣をみて適当に付ける。

「苗字はどうする?」

「ええとじゃあ…たいらで」適当である。

「ふむ…では名が付けられたかを見て見るといい」


名前─タイラソウド─天職─武者サムライLV03


仮想視界で自分を見ると新しい俺の名が付けられていた。ホントにこれでいいんだろうか?まぁ仕方ない。

「ちゃんと付いてますね」

「代々《よよ》の先祖等みおやたち御前みまえをろがむ」

なんかバーバさんが呪文なのか祝詞なのかを唱えると彼女の手の平から一枚の白い板が表れる。そこにはこう書いてある。


名前─バーバ─36歳─女

天職─織姫ヴェガ


レベルは書いていないが仮想視界に映ったものとほぼ同じ情報だ。年齢詐称は出来ないらしい。

「おぬしもやってみよ」

「はい、やってみます」祝詞を唱えると右の手の平から白い板が出現した。


名前─タイラソウド─男

天職─武者サムライ


あれ歳が書いてない?乱丁だろうかとおもいながらバーバさんに見せる。

「ふむ、これはわしらの身分や悪業カルマなんかを記してあるものじゃ、町なんかに入る時は提示しなくてはならんこともある。まぁこんな田舎の村ではよそ者などすぐに分かるから、おぬしのように怪しいやつは、わしのような村の実力者に目通りして、場合によっては処罰することも出来る。」

やはり俺は怪しいやつのようだ。まぁ血まみれでは当たり前だが。道理でダンジョンを脱出してすぐ声をかけられるわけだ、声かけ運動実施中らしい。

「それにしてもソウドの天職は…東騎士アズマキシか?変わったジョブじゃな」

「いえ?そんな名前のジョブに見えるのですか?あとカルマってなんですか?」

「あぁ…このカードは人によって見える情報がちがうのじゃ、しかし悪業カルマだけはかならず見える。これは要するに、そのカードの持ち主がどれだけ悪行を働いたかを分かる仕組みじゃ。この悪業カルマが多かったりすると入街が断られたり、死刑にされたりするのじゃ」

気を付けないといかんな…しかし悪業カルマなんて表示されなかったような。つまり俺も彼女も善人なのだろう。たぶんそうだ。そうだといいな。

「さて…まだ聞きたい事はあるかな?」

う~ん正直いっぱいあるような無いような…とりあえずここはゲームでは無いようだが、日本人らしき同じ境遇の男が居たらしい。そしてそいつは姿を消した。ひょっとしたら帰れたのだろうか?そうするとやるべきことは…まぁ帰る方法を探すのが正しいのだろうか?

「カラミさんはどちらに向かったのでしょうか?」

「ここから北の商都ウォカにむかった。そこを拠点にして帰る方法を探していたそうだ。まぁひょっとすると、まだそこで暮らしているかもしれん」

「ここからウォカに向かうにはどうすれば良いのでしょうか?」

「ちょうど明日近くの街へ荷車が出るから手配してやろう。カラミの後をたどるのかね?」

「まぁとりあえず」

「もし会うことがあったら伝えてくれ。黒髪などこのあたりじゃそう居ない、貴様の娘は無事に産まれて元気にくらしているとな」

「えっ!もしかしてバーナさんって、そのカラミさんの…」

「あぁ種だけ残していきやがったよ」

無責任なやつだなぁ~しかしこの世界はゲームではないのだろうか?システムはゲームっぽいが、経過した二十年の時間をバーバ親子は感じさせる。最近のゲームはこんなにリアルにして制作費とか大丈夫なのだろうか?それに話していても合成音声っぽさは無い…本物の人間に見える。まぁカラミとかいう好色な男を追って見れば何か分かるといいな、と感じるタイラソウドであった。…この名前にもなれないとな。

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