混乱の邂逅
やっぱり棒だ、棒である、棒そのものだ。触って感触を確かめる。やはり、すでに持っているひのきの棒と変わらない感触だ。なのに正体不明である。もしや俺の鑑定レベルが低いのだろうか?新しい棒は+1だったりひのきの棒改だったりするのだろうか?そもそも鑑定レベルとかあるんだろか?なぞは深まるばかりである。
しかし、棒ばかりに気を取られているわけにもいかない。とりあえず新しい棒を左手に持つ。前進するしかないのだ。そうして再び小道にはいる。そして、5分ばかりいくと地面が緑に光っているのを見つける。ステータスを見る時の視界───仮想視界と命名した───に似ている。ためしに仮想視界に切り替える、緑の地面は赤くなった。便利である。古いほうの棒で赤いのをつついてみる。
ブンッ!
「うおっ!」
地面から10cmほどのとげが出現し、棒がなぜか粉々に砕け散る。罠である、もしも迂闊に触っていたらエライことになっていた。しかし罠が見えるってのは、ローグライクゲームにおいて、絶対的と言って言い利点である。上手くすれば、やたら強い店主も経験値にできる上に、泥棒もできる。まぁこの世界がどういうものなのか、さっぱり分からない現状では死に技能かもしれないが。
そしてとげを跨いで、再び前進すると、壁に突き当たった。比喩ではなく本当に壁がある、しかし壁の色が違う。周囲の壁は灰色だが、この壁は緑である。また緑だ、仮想視界で見ても緑だ。なにやら赤い文字が書いてある。
王
…王様のお部屋?というか漢字?俺の乏しい知識とゲーム脳によって導き出される結論はひとつ『ボス部屋』である。まぁ出口に通じているのは確かだ。隠し通路なんかはなかったようだし、一本道だったわけだし、いや、もしかして出口がそもそもなくて、神話のミノタウロスの如く、死ぬまで監禁されるのだろうか?いや自称トッププレイヤーの発言を信じるならば───あんまり信用できないような───ここは初期ダンジョンだ。そんな無茶はないだろう。いや、奴も現状を正しく認識で来ていたのだろうか?とにかく入るしかないのだ、王の部屋に。だがその前に現状のステータスを確認しよう。
名前─未識別
状態─所有物─装備品─??????─小鬼のナイフ
天職─ファースト─武者LV02─セカンド─探索者LV05
設定─褒章値87/108
なんかレベルが上がっていた。しかし侍はまだ2である、経験値の配分とかどうなっているんだろうか?それと、やっぱり経験値は6倍だけが参照されているのだろうか?なぞは深まる。褒章値?と装備品がすぐ見られるようになっているのは、ありがたい。多分褒章値というのは経験値増大とかのボーナスを取得できる物なんだろう。さっきより増えているきがするが…何でだろ?レベルアップのお陰だろうか?折角なので使ってみようか、設定から色々と見て見る。
設定─特殊装備取得─グラム─蜻蛉切─獅子王─和同開珎─剃刀─エクスカリバーの鞘─教祖の剣─………
なんか色々あるが、今俺は緑色の仮想視界を使って物事を見ている所為か、めがクラクラする。なにせ総緑天然色なのだ。はっきりいって気持ち悪い。それになぜか五十音順でないので、見ずらい。さらに有名どころの装備なのは分かるのだが、本物なのか?性能とかどうなんだろう?とくにエクスカリバーはゲームによって性能が全然違う、まぁ鞘だが。しかし鞘は持ち主を不老不死にするとかなんかすごいと言う話を聞いた事があるので、取得して見る。ざっと見た中では一番有名だしね。しかし取得できなかった。ポイントが足りないのだろうか?ためしに剃刀を出して見ようかと思ったが、もしも、全部のポイントが無くなると自分の首を絞めることになるかも知れない。
「う~ん。攻略本があればなぁ。いやそもそもここは、ゲームなのか?」
謎だらけだ。だがここまでの敵である小鬼は、みんな一撃で死んだ上に動きもワンパターンだった。それなのにボスだけLV100とかの素人の作ったRPGみたいなことは無いといいんだが。いずれにせよこの先に進むしかないのだ。赤い王という文字に触れる。壁がゆっくりと横に割れる。中は結構広い高校の体育館位の広さだろうか、例の緑の地面が2~3個見える。罠だろう。というかなにもいないボス部屋じゃないんだろうか?いや…中央に赤い煙が集まっていく、そして一匹の獣が出現する。
洞窟穴熊LV1
四つ足の熊である。いや顔が通常の熊とは少し違うような…ネズミっぽい。ていうかでかいな…体高は150cm位だろうか。あ、後ろ足で立った。でかいな2m位無いか…いやおれがビビっているだけかな?勝てるかな…勝てなきゃ食われるか。痛くないといいんだが、いやネガティブになっている、気合を入れなくては。
「グオォオオーーー!」
「きなよ偽クマたかがLV1だろう?俺は強いっ!LVは全部で7だっ!7倍だっ!七夕だっ!頭カチ割って脳みそすすってやるっ!」
立って叫んだくせに、わざわざ前足をついて接近してくる偽クマ。トロいクマだせいぜい時速20km程度だ。自転車並だ。出会い頭に横なぎに?の棒でぶん殴る。ギャンッっと、不細工に泣き喚く、やっぱりあんまり強くないようだ。たまらず逃げ出す偽クマの右足に小鬼のナイフを投擲する。動きを止めた偽クマへさらに追い討ちとばかりにケツを滅多打ちにする。5回ほどぶん殴ると肉が抉れる。やはり脆いいや、こっちの攻撃力が高いのだろうか。
「ギャォオォ~!!」
たやすく断末魔をあげて、あの小鬼たちのように縮んでいく、やっぱり弱い。そして残されたものは…
100ナル銀貨
やっぱり金か、しかし日本円にするといくらなんだろうか正直100円玉よりは大きいがあんまり高そうには思えない。ナイフを回収し、出口を探す、すると偽クマの死んだあたりにさっきまで無かった緑の壁らしきものが出現した。
宝
こんどは宝かと思いながら赤い文字に触れる。すると俺のひざ上位の高さの箱が現れた。
1万ナル金貨
黒曜剣
赤土石の面
赤土石の胴鎧
赤土石の篭手
赤土石の足甲
と言う装備が入っていた。そういえばあいつが装備一式があるとか何とか言っていた。黒曜剣は見た目剣と言うより斧に見える。というか棒に三日月の黒曜石らしき刃がついているだけだ。剣…剣ってなんだ?他の装備は赤土石と言う良く分からん材質でできているようだ。名前の通り赤茶色の石でできている。防御力とか大丈夫なんだろうか?そんな事を考えていると目の前の柱の文字が変化する。
出
で?出口なんだろうか?他に道も無いので箱を抱えながら───30kg位あるだろうか────文字に触れる。
すると俺の入ってきた一本道の反対側の壁に、階段が出現する。ようやく出れる…このダンジョンはたぶん全長1kmもないだろうが、なんだかんだで3時間くらい入っていた気がする。箱を抱えながら階段を上ると、どうやらあの村にでたようだ。しかしそもそも言葉通じるんだろうか?緑の太陽がさんさんと輝いているわけだから地球じゃないのは確かである。空気は…まぁ息苦しくは無いので、地球と似た環境なんだろうと思っておこう。そんな事を考えていると、ラベンダーのような綺麗な紫色の髪の15~6才くらいの美少女が近よってくる。
「探索者の方ですか?たくさんアイテムを入手したみたいですね~良ければ私の家は商売をやっているのですが…どうします?」
「(日本語?いや…耳には違う音が入る?)えっええ、お願いできますか?」
「よかった~助かります。歩いてすぐですよ~どちらからいらっしゃたんですか?黒髪の人なんて珍しいですね!」
「(通じてるようだな)ええ、まぁ極東の方から」
「へえ~すごいですねぇ!あっ!もう着きましたよ。おかーさん!お客さんだよー?」
「近いな~」
名前も知らない美少女にホイホイ着いていくのは、自分でもどうかと思うが、とにかく悪人ではないようだ。彼女の家は…なんと言うかテントである。色とりどりの布でできている。他の家は木やら石で出来ていると言うのに、おや中から母親?が出てくる。しわだらけで髪の紫色も色あせている苦労しているようだ。パッと見おばあちゃんと孫だ。その母親は俺を見て驚くと俺にとっても驚く事をしゃべった。
「ニホンジン・チャイナ・アメリカ?ヘイセイ・ショウワ?」
娘の言葉は音としては聞いた事も無い調べだが、俺の脳はどうやら日本語として理解している。発する言葉もそうなるようだ。だが老女は紛れも無く日本語らしき言葉をはいた




