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動揺の安心

いきなり人を下僕呼ばわりするやつとはいえ、目の前で毛の無い緑の猿らしきものに食われていくのは、あまり見たいものではない。あっ!顔とはらわたを食い終わったようだ。正直何がなんだか分からない。

ある時、突然森の中にいた、道成りに歩くと、土塀に囲まれた田舎の村?の入り口についた。住人は髪の毛が赤かったり緑…紫もいた…それなのに自然な髪の色に見えた。ここは異国?いやコスプレ集団?それとも…ゲーム?VRゲームをプレイした事は無いが、はたして、目の前にあるような、脳やら腸やらがはみ出た死体や、飛び散った血痕などが規制されないなどありえるのだろうか?昨今のゲームの事情には詳しく無いが、今俺の心臓の鼓動はうるさい位鳴っている、こんな音が再現できるのだろうか?そして緑色の小鬼は口の周りを真っ赤にして笑う…次はお前を食うと表情が言っている。贅沢な奴だ、まだ最初の犠牲者は半分以上残っている。多分グルメなんだろう、脳は食わず顔を食い、脂肪のついた心臓だって残ってる。

混乱は不思議と収まってきた。まな板の上の鯉はこんな気分なんだろうか?しかし冷静になって見ると、ずいぶん小さい鬼だ。180cmある俺の腰の高さより小さい。小さいくせに殺意は膨大らしく、目を爛々と光らせながら俺を食おうと飛び掛る。俺は無我夢中になり、右足で前蹴りを放つ、小鬼は俺をちょろい獲物だと思ったのか、ケリをもろに顔面で受けてしまった。足の裏にうんこを踏んだような嫌な感触を感じた。小鬼は見かけよりもさらに軽かったらしく洞窟の壁に激突し、つぶれた。


「…死んだのか?なんてもろいうえに反応の鈍い生き物だ…」


小鬼と躁病のホトケ…そういや名前なんだっけ?彼等は、死にたてだというのに信じられないニオイをさせている。ここは生死をかけた現実なのだと、汚臭をにおわせながら主張している。

だがホトケ様は、甲高い声の上に早口で一気にしゃべっていたので、正直話は半分も理解していない。ここがゲームに似た異世界であると思っていたようだが…


「ユーピース・オンラインっだっけ?たしか最初期のVRMMOでアップデートのたびにクソゲーになるとか、スタッフが裏事情を暴露して夜逃げしたとか変な噂の多いゲームだったかな?たしかもうサービスを打ち切ったんじゃなかったかな。いやまだだったのかな?」


確かネット上で一時期そんな話題が有った気がした。しかし俺はゲームの事情に明るく無いので醜聞くらいしか知らないのだ。『ユーピンはクソループゲー』『接続人数10人以下のMMOマゾ・ムカツク・オモラシ笑』という元プレイヤー達の怨嗟の声を事情は良く知らないが、よくコピペされたので、文面だけ知っているだけだ。

しかし…この状況は良く分からない、自称トッププレイヤーがザコ?モンスターに瞬殺されたのも不思議だし、そもそも俺はVRゲームのハードだか機器を持っていないのだ。どうやってプレイしているのだろう?考えられるのは、いくつか有る。第一にVRゲームは元々どこかの軍隊が訓練や傷痍軍人の治療として使っていた技術らしい。そのため例えば俺が自宅で意識不明に陥って病院に搬送され、神経だか脳機能の回復のために擬似的に体を動かす訓練としてゲームをプレイしている。

…まぁこれは却下だ。現在はいわゆる植物人間(医学用語は知らない)であっても脳死状態でも患者と会話?できるらしい。科学スゲー。医者から説明なり、コンプライアンスだかセカンドオピニオンだかをうけるはずだ。だいたい脳みそとはらわたがこぼれるような教育によろしく無いゲームは医療行為として認められないだろう。

そうすると、あとは俺がなぜかVRハードをわざわざ買ってきて、なぜか最新ソフトではなく過疎ってるのを記憶をなくしてプレイしている。…これもまぁ無いだろう。それになぜ着ている服や財布・運転免許証まで再現しているのだろう?…これも無い…と、思いたい健忘症ではないはずだ。


「と、いうことは…やはり夢オチ?いやまてよ…おれを拉致してゲームのモニターにしているとか…」


無いか、血のニオイや足の裏のイヤな感覚がここは現実だと言っている。しかしそうすると困った事がある。空気やら病気だのウイルスは大丈夫なんだろうか?まぁこれについては、現実の日本であっても、急病やガス漏れで死ぬこともあるから心配してもしょうが無い。隕石や地震といった天災と同じだ。死ぬ時は死ぬ。それは、目の前のトップランカーでさえ簡単に死んだ事からも分かる。…うん、瞳孔が開いてる…それに首と胴体に分かれてるから、これで生きてるならゲームでもビックりだ。なんかあんまり冷静じゃないな…これまでの人生で死体を見たことが無いでは無いが、流石にこういう無残な死体ははじめて見るせいか心がざわつく。


「いや、ここがどこだろうと関係無い。やることやらにゃ。よし、口に出して整理するか…とりあえずこのダンジョン?から出るかって?あれ?」


さっきトップランと一緒に入ってきた出口…いや入り口が無い灰色の岩壁があるだけだ。ためしに触って見る。すり抜けたりとかそう言うゲームっぽい展開も無い。そして、ここが真実異世界であるというならば、重大な問題が有ることに気がついた。


「ブレーカーを落として無い」

余分な電気代を払わなくてはならない。いや、水道・ガスもか?まぁ公共料金も固定資産税などの税金も、もう払う必要は無いかもしれないが。

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