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交渉の成立

契約は無事まとまった。

何でも10万ナル以上の取引の場合は、後々もめないように慣例として、契約書─紙質はゴワゴワする─を作るそうだ。

やはり結構な大金らしいな。契約書の文面には、俺の持つ装備一式をマカンの持つ装備一式と100万ナルを対価として、購入すると書いてある。

また異議がある際は一ヶ月以内に限り、裁判を起こすことが出来る。と書いてある。

シンプルな文章だ。別にだます意図の文言はない。契約書の下の方にマカンが署名する。俺もタ・イ・ラ・ソ・ウ・ドっと頭に浮かんだこの世界の文字をゆっくりと書く。大丈夫なんだろうか?


「ここに契約は完了しました。いや~ソウド様が話の分かる方で良かった!ではもう夜も遅いですし宿が決まっていないのであれば、こちらで手配いたしますが?」

「いや、俺も路銀が尽きていたので助かったよ。しかし宿まで世話になって良いのか?」

「たいした手間ではありませんし、所在が分かっていたほうが、こちらとしても都合が良いのです」

「わかった。世話になるよ」


袋に装備品一式とインゴットを入れる…町中でフルアーマーは正直きつい。…靴だけなぜか入らなかった…袋が一杯になったのか?仕方ないので、サンダル─そう言えば家で昼寝していた時のものだ─を脱ぎ装備する。

すると不思議なことが起こった、なんと靴が俺の足のサイズにフィットしていく。不思議だ。


マカンはヒューンに俺を丁重に案内しろというと、では、また…と店の奥の方に消えていった。俺は店の外に出てヒューンの手配した馬車に乗る。宿はすぐそこだと言われる。特に会話も無く馬車に揺られる。


暇なので、道行く人々…鎧をフル装備した人もいるし、帯刀しているのもいる。彼等を仮想視界で眺める。名前と年齢はどうでも良いからジョブだけ見れるかな?


掃除人スイーパーLV28─男…剣士ソードマンLV34─雄…カエル食い(トード・イーター)LV75─男…焼き串少年(スピット・ボーイ)LV3─女………


カエル食いレベルすげー。別にトカゲ人間じゃない、一見普通の人間だ。

だが剣士は全身青肌だ、しかも角が生えている。どうやらこの世界にはそういう人種もいるらしい。いや、種族も違うようだ…魔人デモンか。しかし色んなジョブがあるなぁ~焼き串少年は少女でもなれる様だ。

それと有る程度仮想視界の情報は絞れることが分かった。名前と年齢は別に見えなくても良いかな、でも性別が分かるのは男の娘を見分けるのに使えるな。

しかし他人のジョブや名前を視ることは、普通は出来ないとバーバ婆は行っていたが、誰でも使えそうなカードですぐ分かるんだし、こうやって暇を潰すくらいしか出来ないスキルで実は死にスキルかも。

あと悪業カルマを持った奴がいない…いやもしかして俺の仮想視界では見えないのだろうか。?ジョブ観察をしていると宿に着いたようだ。

良かった、普通の落ち着いた白色の壁だ。看板には『白馬亭』とある。馬車を降り、ヒューンの後に続く。ヒューンは宿屋の店員に俺を紹介すると、後日また伺います…と低く小さな声で告げ、去っていった。俺はカードを取り出し店員に渡す。


「ご丁寧にどうも、ようこそいらっしゃいました。成金マカンの紹介の割にはマトモそうで有り難いよ」

先祖代々の店持ってるのに成金なのか。

「よろしく頼むよ、ここ風呂あるかい?」

日本とは気候が違うので、あまり入る必要は無いかも知れないが。毎日の習慣は中々やめられないし、もう2日も入ってない。

「公衆浴場なら近くにあるから地図渡すよ、まぁあんまり治安良くない所だけどね」

ホモの巣窟とかなんだろうか?いやそれは衛生が良くない所か。


「部屋は個室なのか?あと一泊いくらだ?」

「部屋は二階の日当たりのいい201号室、当然個室だよ。はい鍵、それと一泊飯なしで100ナルだよ、朝食・夕食を付けるなら150ナルだよ。まぁマカンから二泊分だけの金は貰ってるがね…飯どうするね?追加で50ナル払うんなら上手いのを出すよ。一寸高いけど上手いよ」

「あぁ頼むよ腹ペコだ」

どうせ食あたりで死ぬなら上手いもの食って死にたい。財布から銀貨一枚を渡し、なぜか銅貨五十枚ではなく二枚の木の板を渡される。


25ナル・ウォカ木幣もくへい×2


こういうのもあるらしい、ウォカでしか使えないんだろうか?

町を出る時には気を付けないと。新しくやってきた店員に二階案内され、201号室にはいる。

12畳くらいのワンルームだ。中にはベッドと壺とたらいがある。ベッド有るのか、バーバ家では布を敷いて寝たが。


「では30分位したら夕飯をお持ちします。洗面所は各階に有りますが、入り口に箱があるので利用する時は、銅貨一枚お願いします。モーニングコールは要りますか?」

金取るのか。まぁフランスだかイタリアでは、トイレに入るのに金がかかると聞いた事があった。ホントか嘘かも知らないが。

「いやモーニングコールはいらないよ」

「では、ごゆっくり…」

その後夕飯─パンとスープにベーコンらしき肉─を食い終わったら、洗面所で歯を磨いた。

食事と一緒にブラシがついてきたのだ。部屋に戻りストレッチをした。どんどん体が柔らかくなってきたので、結構楽しい。連日結構激しく運動しているのに筋肉痛がしない。サムライの力?

たらいに洗面所から壺に入れて持ってきた水を張り行水をする。その後ベッドに寝転がり、ステータスを眺める…しかしいつも視界を切り替えるたびに、くらくらするので気分が悪くなる。試しに仮想視界を使わずステータスを出せるか念じて見る。

すると空中にステータスが緑の文字で投影された。何だ出来るのか。しかし装備品などのステータスは投影できない。空中では目線を変えるたびに文字が泳ぐため視にくいので、部屋の石床に投影する。自分の悪業カルマがどの程度なのかを確かめる。


名前─平・ソウド─男

状態─所有物─装備品─泥沼鉄の装甲靴─松織の(アイテムボックス)93/100

天職─ファースト─武者LV03─セカンド─探索者LV06

設定─褒章値90/111─悪行値0/108


カルマはゼロだ。天職レベルも両方とも一だけ上昇している。アイテムボックスは…93個も物が入っているはずもないので、どうやらパーセンテージのようだと認識する。ついでに何か新しいジョブがないかと見て視るが…


天職─変更可能職─旅人─商人─行商人


ふむ結構追加されている。どうやらジョブは、何らかの行動によって得られるようだ。

恐らく商人は取引をすることで取得した。行商は…多分旅人と商人の両方を取得することだろう。

しかしどれもサムライ程の力は無さそうだ。サムライの力はすごい。

体がやわらかっくなったばかりか、なんと歯が再生しているのだ。これは歯磨きの時に気が付いた。なんと歯のかぶせ物が落ち、永久歯がまるで鮫か鰐の如く頑丈に再生している。

まぁサムライの力ではないのかも知れないが。少なくとも体の運用法は、体術としてのサムライの力であることは確かだと思う。天職には計り知れない力がある。体を頑健にし、手の平サイズの袋にタンスほどの収納を造るのだ。実に面白い。他にはどんな力があるのだろう?


「この世界も結構気に入ったな、メシもそう悪くないし。もしも本当にゲームなら本体買うか…ユーピンは基本無料だから回線と本体含めて10万位か」

ニート同然の生活で、携帯電話も解約し、図書館やランニングといった金のかからない趣味ばかりしていた俺にここまで金を出させるとは、見事なダイレクト・マーケティングだ。

しかし心配をかける身内も友人も居ないのはいいことだと思う反面、悲しいことでもある。少し身内を思い出す…

なぜ何にも成らなかったといえば、たいした理由も無い。心不全・脳溢血・胃がん・交通事故…それぞれよく有る死因だが、大学を卒業する頃には、身内が居なくなってしまった。

どうせ自分もすぐ死ぬだろうと思うと、あまり必死に生きようとする気にもならなかった。

…いや俺にヤル気が無いだけか。年賀状も毎年喪中ハガキを出し続けると寒中見舞いさえ届かなくなった。

まぁ今は3分もかからず、メールで済ませられるのだろうが。俺にはメールを送る友人さえ居なくなった。


「俺はこれからどうすればいいんだろう?」


勇者として魔王を倒せといわれたわけでもないし、誰かに呼び出されたわけでもない。何かしようと言う熱意もない。俺も情熱の無い男だ。昔はゲームや漫画も好きだったのだが、なんとなく触らなくなっていった。もし学生時代にVRゲームなんてあったらサルのようにやっただろうか?

…眠い…カラミの家に何かしらのヒントがあるといいのだが。…この世界で始めて話した日本人らしきトップランカーは言っていた。ハーレムを作ったと。そもそもヒロインを攻略するとか言っていた。ヴァーチャルと言えどMMOなのに。だが女か…それもいいかもなと思いながら就寝する。


「おはようございます。昨日お会いした、マカン商会のヒューンです」


宿屋の朝食を部屋で食っていると、あまり好みでない三十路女がやってきた。なにをしに来たのだろう?もしや一目惚れされたか?贅沢なことだが、この人に一目惚れされても、嬉しくないと思う。


「マカン・ラマンの使いで来ました。カラミ・スパイシー様の未亡人様がお会いになるそうです」


一目惚れではなかった。まぁ当然か俺はあまりもてた経験はないのだから当然か。しかし未亡人と言う響きには少々興奮する。ラッキースケベに期待しよう。

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