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序章
"赤の彼"は言った、
『生きている人間ほど醜いものはない』と。
"青の彼"は言った、
『死んだ人間ほど虚しいものはない』と。
"赤の彼"は生者を蔑み、
"青の彼"は死者を哀れむ。
彼らは断罪者。
"赤の彼"が裁くのは醜い生者。
"青の彼"が裁くのは哀れな死者。
彼らはずっと探している。
生きる意味を、
死ぬ意味を。
何年何十年、何百年かけてでも、彼らはずっと探し続ける。
自分たちが生きる意味を、理由を、いつまでもいつまでも、その命が潰えるその時を、ただ静かに待ちながら、彼らは探し続ける――