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上井草まつりの章_8-6

 さて、みどりに謝るために、笠原商店に来た。


「誠意を見せねばな。うむ」


 一人会話をした後、引き戸をガラッと開けた。


「…………」


 みどりの姿があった。店のカウンターに座りながらスナック菓子をボリボリとヤケ食いしていた。


「みどり……」


「どうせあたしは、料理センス無いですよぅ」


 まだ泣いてた。


「ごめん、みどり。はっきり言う。お前の作った弁当は不味かった」


「ひどいっ! 何でそういうこと言うのよ!」


 バンッ、とカウンターを叩きながら立ち上がって言った。スナック菓子が跳ねた。


 どうしろって言うんだろうか。


「でも、さっき言ってたが、美味かったって嘘を吐いてもダメなんだろ?」


「だから嘘を吐くなら吐き通してくれればよかったのに! あたしにバレないように!」


「つまり、何も言わずに食べていれば良かったと?」


「美味しいって言ってもらいたいに決まってるでしょ!」


 やべぇ、メチャクチャだぜ。


「ごめん」


 とりあえず謝った。


「あたしこそごめんね! 料理に対する冒涜しちゃってごめんね! 拷問道具で、ごめんね! 下手の横好きでごめんね!」


「いや、ほら、みどりは、料理なんてできなくてもツッコミができるじゃないか!」


「そんなスキルいらないっ!」


 否めない。料理の方が重要スキルだと俺も思う。


「許してくれ、みどり。お前に許してもらえないと、たぶんまつりが怒るから」


 するとみどりは、「…………はぁ」と大きなためいきを一つ吐いた。そして手に持っていたスナック菓子の袋をガサガサと音を立てて丸めてゴミ箱に投げ入れた。


「まつりちゃんの名前出されたら……どうしようもないよ」


「許してくれるか」


「いいよっ、もう。どっか行ってよっ。まつりちゃんのところにでも行きなよ。許すよっ」


「ああ、そうするよ。ごめんな」


 俺は言い残し、笠原商店を後にした。



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