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上井草まつりの章_7-3
んで教室。
「やぁどうもどうも」
ガタガタガタと音を立てて、机をくっつけてきた。
「あたしの席、今日からココだから」
「……あのな……勝手に席替えしてるなよ」
まつりが隣の空席に座ろうとしていた。
「あたしのこと好きだって言ったくせに!」
「さすがに、嫌いになるかもしれん」
まぁ、ならないけど。
「嫌いになるなぁ!」
どかーーーん!
「うぇーい、いたーい」
ドサッ。
難儀すぎるだろこいつ。
「嫌いにならないから、とりあえず殴るのをよせ」
「そうか。じゃあ好きだと言え」
「好きだ」
「恥ずかしいだろうがぁ!」
どかーーーん!
ドサッ。
「もうっ、教室で皆見てるってのに」
やべぇ、さすがに殴りてぇ……。
そんなタイミングでチャイムが鳴った。
「あ、授業ね。教科書みせてあげる」
「いや、教科書持ってるから」
しかし、目の前の女は、いたいけな俺をにらみつけて低い声で、
「殺すぞ」
「はい、見せてください……」
「よろしい。もう忘れ物しないように」
言って、微笑んだ。
誰か……誰か助けてっ! この女、こわいよっ!