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超能力暴走バトル編_27

 紅野明日香という名の人格は、一体どこに消えてしまったのか。


 結論から言えば、悪しき何かによって封印されて強引に眠らされている状態だ。


 何だかいつも明日香は、眠らされてばかりで活躍という活躍をしていない気がするのだが、ここでも人格封印の()き目に遭っていた。ただ存在することが重要だとは言っても、少々可哀想だと思う。いや、とても可哀想だと思う。


 起きるための戦いをする機会すら与えられることなく、ただ封じられていて、封じられていることも自覚できない状況なのである。


 どこに封印されているのかと言えば、明日香の肉体が首にかけている長方形のペンダント。


 それを壊せばどうなるわけでもない。むしろこの状況で壊してしまうことは明日香の意思を壊すということになる。つまり、明日香の自我が死ぬ。


 何とか明日香を助け出すためには、どうしても悪いタイプの炎を弱め、最終的には完全に消す必要がある。


 しかしながら、相手は普通の炎ではなく水をかければどうなるというものでもない。


 若山はポンプ車で何とかしようと試みて失敗したが、もしも仮に放水成功したとしても、いくら水をかけたところで消えやしない、無駄なのである。志夏がいくら雨を降らせようが、どうにもならないのである。


 事態を何とかする鍵は、宝刀と、魔を封じると言われている壺。穂高家に伝わっていたはずのそれらのうち、宝刀は緒里絵の手にあるのだが、壺の方は……。


 紅野明日香の放つ熱は上昇を続けている。


 いずれ沸点を越えたら、段階的に目覚め、最終的にはフェニックスじみた形をした炎に町が包まれてしまうのだろう。


 志夏にだけは、過去の記憶がある。その中で、明日香がいわゆる暴走状態になったことが何度かあった。明日香の炎の形は、たいていの場合、巨大な鳥のような姿になる。強風に煽られるためにそうなるのだろうが、その炎はいつだって美しく、禍々しく、猛々しいエネルギーに満ち溢れている。


 それが発現した時は、いつだって町の終わり、ひいては世界の終わりの始まりへと直結する。


 そういったものを見過ごすわけにはいかない志夏は、時間を無理矢理に巻戻してきた。


 炎の力を利用して迫り来る軍勢だけを焼き払えないかと考えたが、そもそも利用できるような強い力なら暴走とは呼ばない。人智を超越したコントロール不能の力だからこそ畏怖を集めて封印されているのだ。


 紅野明日香がこの町に来て、炎の力を暴走させるなどというのは奇跡とも言われるような確率で起きた悲劇である。


 誰が悪いわけでもないが、志夏にとっては何もできないのが歯がゆいといったところか。


 ともかく、タイムリミットは近かった。


 というよりも、既に暴発しているものが更に暴発する一歩手前だった。


 だというのに、達矢やまつり達は、それに気付かずに緊張感の無い会話を繰り広げていたわけだ。


 大本営のテントの前。志夏は、何だかもう諦めたように空を仰いだ。




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