超能力暴走バトル編_12
遠くから爆発を目にしたのは、二人の大人。窓の多い図書館の二階にある喫茶店跡地で外の風景を眺めていた穂高華江と若山三木雄だった。
花屋の女経営者とショッピングセンターの店長という関係の二人は、町に残った酔狂な大人たちのうちの二人である。
もう長いこと使われていないにも関わらずピカピカにしてあった館内喫茶店の椅子とテーブルを並べ、笠原商店で買ったペットボトル飲料とお菓子を並べて他愛の無い雑談を交わしていた二人だったのだが、そんな時に学校で爆発が起きた。
遠くからの激しい轟音と振動を感じた。ビリビリとガラスが音を立てたので若山はその場から離れ、「ガラスから離れないと危ない!」と言ったのだが、華江はケロっとして、「なんてことないよ。ただの爆発だろ」と、そんな風に言って、窓の外に目をやった。
図書館二階の窓からは、学校の二階から上が見えるようになっている。
穂高華江の視界では、爆発の炎は確認できなかったものの、もくもくと立ち上る黒煙が見えた。立ち上がってみると、それが校舎三階から発せられているのが確認できた。
「店長さん、お願いしていいかい?」
「はい? 何をです?」
「下の玄関あたりにさ、ウチのバカ娘居るだろ? ちょっと伝えてきてくれないかね。校舎の三階で何か爆発したよってさ」
「はぁ、わかりました」
若山は言われた通りに階下へと降りて、だるそうにのびてる緒里絵とカチャカチャとゲームしている紗夜子に爆発のことを伝えた。
華江の娘である緒里絵は興味なさそうだったのだが、紗夜子の方が大きな反応を示した。ゲーム機を置いて、立ち上がったのだ。
「ふぇ? どうしたの、まなちゃん」
「行かなきゃ」
机の上に携帯ゲーム機を放置したまま足早にエントランスに向かう。
自動ドアが開いた。
「ま、まなちゃーん」
後を追って、緒里絵も出て行く。
残された若山は、わけわからんと思いながら頭を掻き、そして華江の居る喫茶店跡地へと戻ることにした。