超能力暴走バトル編_10
「あうっ」
利奈っちの声だった。
三人が去った後、淡い陽の光が射すボロボロの昇降口に残された少女と利奈っち。利奈っちは説教する気に満ち溢れていたのだが、残念なことに、あろうことか油断して少女に負けたのだった。
宮島利奈は説教しようとひとまず少女に接近して、おそるおそるつついてみたのだが、反応が無かったので気絶していると勘違い。ごろんと無理矢理に寝返りをうたせてみたところ、目を開けてチャンスを待ち続けていた少女の右手によって注射器の針をプスリと首筋に打たれ、睡眠薬を注入されたのだ。
その際に「あうっ」という悲鳴を上げ、あっという間に眠りに落ちた背の高い彼女は顔面から地面に突っ込み、長い髪がバサァと地面に広がった。
戸部達矢は言っていた。「変なドジ踏むなよ、利奈っち」と。その言葉に対して利奈が返したのは「わかってるわよ、そんなの。任せて!」である。
見事に油断し、してやられた。悪い意味で期待を裏切らないドジっ娘ぶりであった。
銀髪少女は勝ち誇って言う。
「今のあたしは、ダークアルファ。ずるいことだって平気でしちゃうのです!」
そして少女は、不様に倒れる利奈を一人残して、先へ進んだ三人の後を追った。