表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
524/579

超能力暴走バトル編_9

 その頃、穂高緒里絵と浜中紗夜子は図書館の入り口近くのテーブルに隣り合って座っていた。


「暇だにゃん」

 そう言った緒里絵の方は、退屈そうにグッタリと頬をくっつける形で机に伏していて、


「暇だねー」

 そう返した紗夜子の方は、町が大変なことになってるというのに自分の部屋から持ち出してきた携帯ゲーム機で、遊んでいた。


「なんか冷房さむくないにゃん?」


「んー、気のせい。ちょうどいいよ」


「そうかにゃん」


 やや沈黙があって、口を開いたのは意外にも理科室ひきこもり娘の紗夜子であった。


「ときにさ」


「何だにゃん、まなちゃん」


 まなちゃんというのは、浜中紗夜子のことである。緒里絵しかこの呼び方をしない。他の幼馴染は、たいていマナカと呼ぶ。


「ときに、カオリ。こんな話知ってる?」


 なお、カオリというのは穂高緒里絵のことである。双方とも、名前の一部を取り出して短くしたあだ名というわけだ。


「どういう話だにゃん?」


 緒里絵はだるそうな体を持ち上げた。面白い話が飛んでくるのかと思い、期待したようだ。


 そして、まなちゃんことマナカこと理科室の幽霊こと浜中紗夜子は言う。


「悪霊が瓶の中に封印されてるって話」


 すると、あまり興味をそそられる話じゃなかったようで、緒里絵は再びだるそうに伏した。しかも隣に座る紗夜子の方から顔を背ける形で。


「しらにゃい」


「あ、そう」


「それがどうかしたにゃん?」


「もしかして、この町に置かれていた瓶の封印が解けてしまったんじゃないかと思ってさ」


 緒里絵は、何よそのオカルトとでも言いたげな振舞いで溜息を吐いた。


「まなちゃん、何変なこと言ってるにゃん。そんなこと、あるはずないにゃん。中二病もほどほどにしないといけないにょ」


 そんな言葉に、あくまで表情を崩さない紗夜子。紗夜子は基本的にポーカーフェイスなので、表情から何を考えているのかを割り出すのは慣れないと難しい。


 ゲームを操作しながら、紗夜子は言う。


「でも、他に原因が考えられないよ?」


 そして、なおも緒里絵は紗夜子に後頭部を向けたままで、


「ひきこもってばっかいるから、そういうこと言うようになっちゃうんだにゃん。これからは、外で遊ぶようにするにゃん」


「やだ、太陽こわいし」


「……まなちゃん、吸血鬼みたいだにゃん」


「じゃあ、実は既に吸血鬼になっちゃったのかな。わたしの知らない間に」


「それだにゃん」


「それかなー」


 ゆるい会話を交わしていた。


 図書館は、とても平和で涼しい空間のようだ。


 相変わらず、カチャカチャと音を立てながら、紗夜子はゲームを続けている。


 ふと思い立ち、むくりと起き上がった緒里絵は、紗夜子が何のゲームをやっているのかと覗き込んでみた。吸血鬼のゲームではなく恐竜系のモンスターを狩ってた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ