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超能力暴走バトル編_7

 その頃、紅野明日香の居る三年二組の教室では。


「暴走とはね。やってくれるじゃない、紅野明日香」


 真新しい紫色のローブを羽織った女が、フードを外していた。


 柳瀬那美音だった。この時は特別仕様でローブ着用であった。普段、こんな格好をすることなど無い。大きな胸を隠すローブの下には、いつもの紫ブラウスとジーパン穿いている。


 彼女の目の前に居る明日香は、見慣れない長方形のペンダントを身につけていた。


 苦悶の表情で目を閉じている明日香を悲しそうに見つめていた。


 那美音としては、紅野明日香を(とら)えるのが目的だったはずだ。しかし、どうしてかこの時は明日香を捕えようとは思わなかった。いや、もう思えなくなったというのが正確かもしれない。


 那美音には人智を超越した不思議な力が宿っている。それが読心。もっとわかりやすい言い方をすればテレパシーである。


 そんな力をもってしても、いつも明日香の心の内は読めず、障壁がかかっているようで砂嵐画面ばかりが浮かぶばかりだった。しかし、この時は読み取ることができた。そんな複雑な思考ではなかったからだ。


 明日香が思考していたもの。それは、単純に、世界に対する、憎悪。


 抱えている心の声は禍々しく、烈しく、明日香を焼き尽くそうとしているようにも見えた。


 ――取りつかれている?


 那美音はひとまずそう考えた。


 限りなく正解に近かった。


 しかし那美音は正解したとは思わず、次へ次へ次の可能性へと推理をめぐらせていく。そして最終的に辿り着いた結論は、


「んー、わかんない!」


 お手上げだった。


 とにかくこの時の那美音は、全面的に明日香の味方だった。


 那美音は、明日香に手を貸さなくてはならない。それは、深い深い、非常に深いところでの約束だったから。


 ちなみに、人智を超えたスーパーなパワーというのはアルファにもあって、それは人が本来知ることができないはずの情報が脳内に送られてくるというものである。そうして見ていくと、明日香にも超常的な類の力があり、それは発火能力。いわゆるパイロキネシスというやつである。今回、こんなにも気温が滅茶苦茶に上がるなどという事態になっているのは、この超能力が何らかの理由で暴走した形であった。


 約束。


 細かいことは那美音には理解できない。しかし、同じ系統の力を持つ者として、理性では逆らえない何かがあった。


 だから那美音は敵と戦う。


 満ち満ちた悪意そのものだろうが何だろうが、明日香という『炎を受け継ぐ者』の存在を守るために。




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