超能力暴走バトル編_4
みじめだった。惨敗だった。下着姿だった。その下着も胸の方が外れかけで、必死におさえてた。わかり切ったことだったが、引き締まってスレンダーで胸は小さかった。気丈にも泣かなかった。みみみ見るんじゃねぇ、と叫んで門を出て、坂を下っていった。
何が言いたいのかというと、つまり、こういうことである。
上井草まつりは、張り切って鼻息荒く単身校舎内に乗り込んだものの、序盤であっさり身ぐるみ剥がされた挙句撃退されてしまった。
一対一で、ジャンケンに負けたら服を脱いでいくといういわゆる一つの俗に言う野球拳というやつで校舎内に放たれた紫色のローブで全身を包んだ刺客と戦ったのだが、連敗を重ね、あの戦闘力の高いまつりが無理矢理脱がされ、さらに連敗を重ね、あえなく「これで最後ね、さぁ脱ぎなさい」と命じられ、下着まで引っぺがされそうになった時、卑怯にも制服を置いて逃げ出したのだ。
ひどく格好悪かった。自信満々に乗り込んでいって序盤の中ボスに負けを認めて逃げ出したのである。明日香の前にすら辿り着けないとは、なんとも彼女らしくない。
制服を置き去りにして校舎の外に出てきて、中庭に設営された本陣テントの前で立ち止まり、体を隠そうという仕草を見せたかと思ったら叫び、また走り出して通り過ぎ、門の外へと駆け抜けて行ってしまった。おそらく替えの制服を取りに行くつもりなのだろう。
流れていた沈黙の中、達矢が声を出す。
「いやしかし、それにしても、あの上井草まつりを裸同然にするほど圧倒的な敵が居るのか。ゾッとするなぁ、志夏」
「そうね。これは、もしかしたら思っていたよりもずっと絶望的状況なのかもしれないわね」
上井草まつりは多少、単細胞という意味で頭が悪いところがあるとはいえ、その分超人的な反射神経の持ち主である。だからジャンケンはべらぼうに強い。たとえば相手がパーを出そうと手を広げた瞬間にチョキを出すとか、そういった反応が可能である。
明日香とまつりの連続あいこジャンケンは、思考瞬発力と反射神経の勝負だったのだが、それが全くの互角であり、実は一回のジャンケンで手の形は目まぐるしく変わっていた。明日香の思考スピードの方が優れていて、まつりの反射神経の方が優れていたから、互いに変化させた結果として毎回あいこに落ち着いたというわけで、それで連続であいこが続いたのだ。ある意味で明日香の掌の上だったという見方もできなくはないが、明日香は疑り深いところがあるのでなかなか勝負に出なかったのだろう。
本来ならば、一夜明けたこの日にジャンケン対決の続きで、何らかの方法で決着を見る予定だったのだろうが、明日香の暴走によってそれは難しくなった。
現在の明日香に自我は無く、ただ熱を生み出すだけの化け物と言っても間違いではないような存在になっている。水蒸気に包まれて紅に淡く、光彩を纏っている。
とにかく何とかしなければならないと、達矢と志夏は同時に顎に手を当てて考え込む姿勢をとった。