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超能力暴走バトル編_2

 さすがの志夏も、この異常な暑さには混乱せざるを得なかった。


 一体、何がどうなってこうなったのか。


 志夏は女子寮の屋上から空高く舞い上がり、空から町のどこかで異常が発生していないか確認した。


 するとどうだろう。坂の上にある学校のあたりが、何だか赤みを帯びた光に包まれていた。


 その中心に居るのは紅野明日香だった。屋上の給水塔のあたりで紅く紅く、烈しい光を放っていた。光は、やがて校舎内へと消えていった。


 伊勢崎志夏には経験があった。何度も世界を繰り返した経験。


 ――この炎は、悪しき炎だ。


 性質が悪いのだ。炎とは、良い方向にも悪い方向にも変わるもの。使い手の精神次第と言えるのだが、この時の炎は、放火魔のソレと言っても過言ではないほどタチの悪いものだった。


 志夏は考えた。闇の炎に魅せられ、(とら)われてしまったのね、なんて考えた。


 明日香は学校に陣取り、町にシートかけて普通の冷房入れても効果がほぼ見込めないほどの灼熱を生み出している。まだ夏でもないのに、夏のようで、本当に夏になってくれるのは大歓迎な志夏でさえ耐えかねるほどであり、ここはもう、生徒会としてダークな炎で暴走を続ける明日香を倒すために動くしかないと決断した。


 ふと視線を湖に向けると、にぎわっていた。


 水着を着て、泳ぎ回ったり、小島で休憩している人の姿も見える。


 暑いのだから無理も無いのだろうが、何を「あついねー」などと言いながら水を掛け合いながら楽しそうにキャイキャイしているのか。神らしい殺意が芽生えた瞬間だった。


 しかしながら、彼ら彼女らを強風によって攻撃しても何ら解決しないし、仮にこのイベントが袋小路を脱するキッカケになるのだとしたら、明日香を元に戻せれば次の世界で何かが変わる、あるいはこの世界の結末も良い方向に変わってくるのだとしたら。


 そう考えて、くだらない殺意を押し込める。


 そして志夏は上空高く、高く高く飛び上がり、そこで風を集めて、町の海側に送風することにした。


 つまりは冷房である。上空の高いところから寒気を送り込み、循環させることにより、地上の目覚めかけの太陽のとも言える明日香に対抗する。


 これにより、町の気温は劇的に下がった。


 だが、この力も、そう長くは続かないだろう。明日香の熱がさらに高まれば寒気には限界が出てきてしまうし、そもそも志夏の神通力も無限のものであったら苦労はしない。


「不本意だけど、みんなの助けを借りるしかないかも」


 伊勢崎志夏は冷房を操ったまま進路を地上に向けた。



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