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風車は力強く回転を繰り返し規格外の強風は坂を駆け抜けてゆく  作者: 黒十二色
番外編_理科室の友達と過ごした日々
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理科室の友達と過ごした日々-8

 六十五日目。


 今日で日記は最後にしようと思う。


 だって、きっと、ねぇ。うん。もう会えない。


 でもいいか。さよならは言ってきたから。


 何となく、こうなるんじゃないかって、わかってたから。


 まぁ、うん、なんていうかな、心配だな。


 紗夜子を残して行きたくないな。


 会いたいな。


 でも会いたくないな。


 はぁ。



 そういえば昨日だか一昨日だか、風紀委員が見舞いに来た。


 なんかベッドで寝てる私を威圧的に見下ろすだけ見下ろして帰って行ったけど、ありゃ一体何だったんだろうな。


 別に? こわくなんかないけど?





 六十七日目。


 一昨日、最後とか言ったけど、なんかまた書いちゃった。


 習慣というほどいっぱい書いてたつもりは無いんだけど紗夜子のことが気になっちゃって。


 でも、あんまり気のきいたこと書けなさそうだな。なんか頭ボーっとしてるし。


 一緒にイタリアに行きたい。いやイタリア行って何をするってわけでも無いんだけど。


 あとは、ちゃんとゴハン食べてるかなとか、元気かなとか、そろそろ声出せるようになったかなとか、声ききたいな、とか思った。


 一回も声きいたことないのにこんな時に声ききたいってのも、何だか変な話だけど。


 好きだよ、とか言ってみる。


 こんなところで言ってみる。


 これで本当に最後。





 六十七日目!


 最後最後とか言って、その舌の根も乾かぬうちに、またまた書いちゃった!


 突然だけど、私は、ちょっと後悔している。


 すごく簡単に笑顔で別れてしまったけれど、また会いに行くからねとか言えばよかった。


 そうすれば、折に触れて私のこと思い出してくれるかもしれないのに。


 今度こそ最後。





 七十ニ日目。


 ユーレイのままで居てくれたら、私も仲間になれるかもしれない。彼女は理科室のユーレイのままで、私は病院のユーレイになって、ユーレイ同士で仲良くするんだ。


 いや、でも、ダメだなぁ。


 紗夜子は、理科室で一生を終えるような小さな器じゃないんだよ。


 その辺、紗夜子自身にもうちょっと考えて欲しいもんだよね。


 ああ、こわい。こわいよ。


 紗夜子が助けに来てくれたらなぁ。


 いや、でも、ね。


 紗夜子は、私なんかにかまってる暇ないんだよ。


 こんな姿を見られるのも嫌だし。





 七十七日目。


 紗夜子、元気かな。


 いつもみたいに白い顔して寝てるんだろうな。まだ昼間だけど。


 ああ、でも、私も昼間っから寝てるなぁ。


 バカだなあ、もう。


 紗夜子。ちゃんとしなさい





【理科室の友達と過ごした日々 おわり】



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