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風車は力強く回転を繰り返し規格外の強風は坂を駆け抜けてゆく  作者: 黒十二色
番外編_理科室の友達と過ごした日々
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理科室の友達と過ごした日々-6

 十八日目。


 今日は心を鬼にした。


 言ってやったんだ。思い切り。


 でも、少し反省している。


 パソコンに夢中になって、私を邪魔者扱いしてきたから、何かむかついちゃって、つい言いすぎちゃったと思う。


「そうやって、うとましいものから排除していって、近付く人から逃げ回って、いやなことは遠ざけて、最後に一体何が残るの?」


 私はそう言ったのだけれど、彼女は、何も残らなくていいとかいう文を見せてきた。


「バカ! クズ! もうしらない!」


 私はそう言って理科室を出てきてしまった。


 明日、あやまろう。





 十九日目。


 朝食も食べずに朝イチで理科室に行くと、拍子抜けするほど、あっけらかんとしていて、普通に振舞う彼女を見て、何だか謝る気が失せた。


 むしろ、キライな相手にする行動なのかな、なんて疑心暗鬼になっちゃたりもしたけれど、どうやらもう怒りはおさまったらしい。というか、もしかして怒ってたの私だけ?


 そんで、それでも、私は、「言いすぎたよ、ごめん」と言った。そしたら彼女は、『何が?』とか言ってきた。


 私はあんなに怒ったのに、何でこうも平然としてられるんだろうかって思って、イラついて彼女の控えめなおっぱいを触った。ぐにゅりと掴んだ。


 彼女は悲鳴を上げることなく、びっくり顔で飛び退いて、胸をガードした。そいで「えっち」と口を動かした。


 なんか、可愛いとか思った。


 そういや、関係あるのかどうかわかんないけど、この間、彼女の左肩を触ったら、ものすごい拒絶された。それで、


「肩どうしたの?」


 って私が聞いたら、彼女はパソコンのキーボードを素早く打って、


『性感帯』


 とかって。


 んで、だったら触りまくってやろう、って悪戯心でもって左肩エロく撫でたらニヤニヤしながら、


『あぁんっ・・・』


 とかって。


 バカかと思ったね。いや、笑ったけど。


 でも、どうやら、本当に左肩痛いみたい。思い返せば、肩より上に上げたところ見たことないし、左利きなんだから左手でやればいいことを無理な姿勢になるのに右手でやることもあるし。


 あ、それから、私、彼女の動きの中で、好きな仕草があるんだ。


 何かって言うと、右手を髪の中に滑り込ませて、黒髪をクシャってにぎりつぶすところ。単なるクセみたいなんだけど、なんか好きだ。


 なんか、あれだな、それがどうしたって言われそうだけど、そういう細かいところも全部含めて、彼女は楽しい子だってこと。


 何でも出来るすごい子でもある。うん。


 私の自慢、とか言っちゃったら、彼女は迷惑そうな顔しそうだけど。


 ちなみに、ほんの数日間で、何年も同じパソコンを使ってきた私よりもはるかに使いこなしていて、なんか、ちょっとした寂しさみたいな感情を抱いたりもした。





 二十三日目。


 私には、行ってみたい国がある。でもまだ行けてはいないから、すごく良いところだって聞いてるから、本当に行きたいんだけど、でもそれは私には簡単に行ける場所じゃないんだ。お金も無いし。


 でも何だか、私は行ったこともない国をまるで自分のホームグラウンドのようにして、


「イタリアって、知ってる?」


 とかって、本とかインターネットで得た知識をありったけ披露して自慢した。他の人から見たら、そんなの虚しいって思われるかもしれないけれど、でも、私の代わりに彼女が行ってくれたなら、彼女がイタリアを好きになってくれたらって思って。


 今日、彼女のところに行ったら、彼女は丸一晩インターネットに没頭してイタリアのことをかなり調べ上げていた。目の下にクマまで作っちゃって。


 なんかイタリアの料理と絵画に対して大きな興味を持ったみたいで、発見した色んなイタリアっぽいページを見せ付けてきては普段以上に目を輝かせていた。


 ま、そんなわけで、


「ふふふ、これで彼女もイタリアの虜ね」


 なんて何か企んでる風な悪い笑顔を浮かべながら、今日の日記は終えたいと思う。


 それじゃあ、また明日。





 三十五日目。


 また明日とか言っといて、十日以上経っちゃってるし。継続性の乏しい自分に呆れて(笑)すら出てこないし。


 まぁ別に、もはや気にすることでもないけど。


 本当は、毎日書くことがいっぱいあるんだけど、正直、ありすぎて書いてる暇ないんだ。消灯時間との兼ね合いもあるし、ちゃんと睡眠とらないと病院の人に叱られるし。


 さて、今日は精密検査だったから、検査を終えた午後に彼女の部屋に向かった。


 到着するなりなんか、生徒会長が理科室にギター届けに来たので私が受け取って彼女に手渡す。


 どうしたのそれって私が言うと、彼女は弦の束を机の上に置いて、『買った』ってパソコンのテキストドキュメントに打ちこんで見せてきた。青枠のウィンドウの中の白地に黒い文字が躍る。相変わらずの高速のタッチタイピングだった。相変わらずっていうか、日に日に速くなってるけども。私なんて二年くらいこのパソコン使ってるのに、未だにキーボード見ながらじゃないと打てないのに。


「音楽とか聴くんだ」


 って私が言うと、彼女は前に書いたものを消して、


『きく。最近は。RUNちゃんのとか』


 ってパソコンのテキストドキュメントに打ちこんで見せてきた。


『昔、友達にテープ借りてたの見つけて、懐かしくなったから、ギターやりたくなった』


 とかも。


 ともかく、どうやらネットショッピングを身につけたらしい。ますますひきこもりスキルに磨きをかけたように思えるんだけど、気のせいだろうか。


 それでね、今日のことなんだけど、彼女が、この村を紹介するウェブサイトを作りたいとか提案してきたから、私は「やっちまいな」とか言いながらウインクして親指を立ててやった。


 それで彼女はほんの少しだけ目を輝かせた後に、ホームページを作り出した。ホームページ作成の勉強は、私に黙って勝手に始めてたらしい。彼女がトイレ行ってる隙に、履歴をのぞいたら、そういうのをけっこう見てた形跡があった。他にも色々、どんだけネットにドップリなんだって感じの履歴だったけども。




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