ブルースクリーン-7
さて、その後、置き去りにしたパソコンがどうなったのか。
俺が再び図書館に行ってみると、
「なくなっとる……」
思わず俺は呟いた。
ふと周囲を見回すと『図書委員』と書かれた腕章をつけた、髪の長い娘が本をぱらぱらと捲りながらも俺の様子をうかがっていたので、きいてみる。
「あの、この辺にパソコンとか置いてなかったですか」
すると、女は思い切り挙動不審になって、
「え? えーと、あー、ないない」
絶対、こいつが持ち去ったなと思った。
しかし、それで良いと思った。
俺にパソコンなんて扱えないからってのもあるけれど、何より紗夜子には高性能のパソコンを持たせてはいけない。
あいつが人間らしく戻るためには、機械なんて要らないんだ。紗夜子には、パソコン以外の趣味や特技が大量にある。
思った通り、パソコンが無くなったことで紗夜子は怒り狂ったけれど、引っ叩かれたり、引っ掻かれたり、泣かれたり、罵られたりしたって、俺は紗夜子のそばを離れない。
悲しそうに横たわって泣いても、まとわりつく。
ネトゲ中毒のパソコン依存が弱まるまで、その瞳が機械なしでもカケラほどの輝きを取り戻すまで。青い空の下を歩けるようになるまで。ちゃんとしっかりバランスをとれる子になるまで、パソコンは図書委員の活動にでも役立ててもらおう。
【ブルースクリーン おわり】