フェスタ_明日香-7
アルファ「さぁ、回は二回裏っ。この回は、上井草まつりからの打順です。バッターボックスに入ります」
メジャーリーグの強打者みたいなガニ股オープンスタンスのまつりが、バッターボックスに入った。
紗夜子「…………」
アルファ「ピッチャー、二回首を振って、投げました。初球変化球を大きく空振りィ」
まつり「くっ……」
アルファ「いやー、いいスイングです」
利奈「初球は変化球から入りましたね」
おりえ「まつり姐さんはストレートには滅法強いにゃん」
利奈「というか、変化球が全然打てないんだけどね」
おりえ「うむにゅん」
アルファ「浜中紗夜子、二球目を投げて――これも空振り。変化球を続けてきました」
利奈「あの変化球を投げられ続けたらまつりは打てませんね」
まつり「ま、マナカ! 卑怯だぞ、曲がる球ばっか投げやがって!」
利奈「また変なこと言ってますね」
アルファ「そうですねぇ」
まつり「まっすぐで勝負しろぉ!」
紗夜子「いいよ」
あっさりそう言った。
まつり「え?」
紗夜子「次、ストレート投げるから。真ん中に」
まつり「なっ……よ、よし、来いっ!」
アルファ「今までセットポジションから投げていましたが、ここでピッチャー。大きくふりかぶります。そして、左腕を大きく振った!」
ズドビャァアアアアン!
アルファ「出たぁああ! マンガ直球だぁ! 緑色の閃光がほとばしるほどの超速球! 上井草まつり手が出ないぃ! 三振ーーー!」
まつり「ぅあ…………」
紗夜子「いえっす☆」
可愛く左拳を握ってガッツポーズした紗夜子。
アルファ「まつり選手、がっくりと肩を落としてベンチへ戻ります」
利奈「恥ずかしいですね」
アルファ「恥ずかしい……ですか?」
利奈「ストレート要求しておいて、ど真ん中にストレートが来て、それに手が出ないで見逃し三振ですから」
アルファ「しかし、ここは、投げた紗夜子たんを褒めても良いのではないでしょうか」
利奈「マナカは、あれくらい普通に投げるのよ。それを一番知ってるのは、まつりなのに、情けない」
アルファ「なるほど。幼馴染ならではの厳しい意見が出ました」
そして打席には、次のバッター。
アルファ「さて、バッターボックスには不良A」
利奈「本名は何なんでしょうね」
おりえ「えーすけ」
利奈「そうなの?」
おりえ「そうだよ」
そんな名前だったのか……。
アルファ「ふざけた名前ですね」
おりえ「……別にアルファベットの『A』だから、えーすけっていうわけじゃ、にゃいと思うけど……」
アルファ「ピッチャー、セットポジションから、投げた!」
利奈「あ、失投」
ガキーーーーーン!
アルファ「ジャストミーーート! 打球はセンターへ! ぐんぐん伸びるっ、伸びて、伸びてっ」
アルファ「あーっとしかし! 捕った捕った、捕りました!」
センターの志夏が……上空40メートルくらいのところでボールをキャッチしていた。
志夏「…………」
不良ども「「「「えええええええええええええ!?」」」」
不良B「何それ! チート!?」
志夏「よっと」
ストンと着地した。
空飛んで捕球した。
アルファ「これは、素晴らしいプレーが出ました」
利奈「まさに神ワザですね」
アルファ「むしろ不思議現象な気もしますが、とにかく、これでツーアウトになりました」
利奈「マナカは、まつりを抑えたことで安心して、気を抜きましたね。精神の未成熟なところが出ました」
アルファ「うまく打たれたようにも見えたんですが、そういうことでしたか」
利奈「この打線で要注意なのは、まつりと、えーすけだけですね。他の人たちはよっぽどのことが無い限りバットに当てることもできないでしょう」
若山(審判)「ストライック、アウト! チェェィンジ!」
アルファ「あぁ、そう言っている間にもう、不良Gくんが三振でチェンジです。解説の利奈たんの言うように、まつりとAくん以外は打てる気がしません! しかしまだ序盤。不良チームは浜中紗夜子を攻略することができるのでしょうか」