フェスタ_明日香-5
紗夜子「…………」
浜中紗夜子は、当然のようにマウンドに上がった。
そして、投球練習。振りかぶって、投げた。
左腕を振り切っていた。
まつり「ちょっとちょっとちょっと!」
敵チームのまつりがマウンドに駆け寄る。
紗夜子「マツリ? 何?」
まつり「何じゃないわよ、何で平然と投げようとしてんのよ! お前の肩は……」
紗夜子「この前ね、記憶を失った子供を一人拾ってゴハン食べさせたら、その子が記憶を取り戻して実は闇医者で、なんか手術して治してくれた」
まつり「そんな……そんなありえないことって……」
ありえなさすぎだろ……。
紗夜子「とにかく、治ったんだから良いでしょ。さぁ、勝負だよ!」
まつり「え、あ……あ、うん……」
まつりは釈然としないような、複雑な表情をしながらもベンチに引っ込んだ。
アルファ「さぁ、一回裏の攻撃は、不良Dくんからです」
が……しかし……。
アルファ「特に見所もなく三者三振で凡退でした。紗夜子たん、コーナーを突いた素晴らしいピッチング。決して不良集団のバッティングがヘボいわけではありません。彼らに全くバッティングをさせない紗夜子たんがすごいのです」
ああ、確かにすごかった。
アルファ「球のキレ。スピード。緩急。変化球。コントロール。全てにおいて、一流です! そして、紗夜子たんをリードする男子生徒Dくんのキャッチャーとしての働きも、忘れてはいけません!」
おりえ「ひゅわあああああ! Dくうううん!」
アルファ「素晴らしい守りでした!」
で、二回表に入る。