フェスタ_明日香-3
翌日。校庭。
学校は文化祭本番。
野球でもサッカーでもラグビーでもカバディでも。
何でも出来そうなくらいに広い校庭だった。
そこに、揃った両チーム。
まずは、俺たち、紅野明日香チームのメンバーを紹介しよう。
まずは、俺、戸部達矢!
器用なバナナ好き娘・紅野明日香!
自称、神・伊勢崎志夏!
自称、風紀委員・上井草まつり!
理科室の幽霊・浜中紗夜子!
商店街の看板娘・笠原みどり!
堕ちたアイドル・大場蘭!
病弱な風紀委員補佐・風間史紘!
合計八人!
――って、足りねぇじゃねぇか!
達矢「野球は一チーム九人だよな……」
志夏「ふっ、何が言いたいのかしら、たっちゃんは。私がいくら人間ではなく神だからといって、人数を集められないわけがないでしょう?」
達矢「いや……だって、事実お前の他に七人しか居ないじゃねぇか。この場には……」
言うと、
志夏「こんなこともあろうかと、助っ人を呼んでいるのです!」
達矢「助っ人?」
志夏「そう、ミス柳瀬です!」
志夏が名を叫ぶと、
那美音「…………」
サングラスを掛けて変装した謎の女が姿を現した。
年上っぽいオーラを放っている。
あれこそは――
二重スパイ・柳瀬那美音!
というわけで、これでとりあえず九人揃ったわけだが、不良チームはどうだろうか……。
俺は、不良集団に目を向けた。
不良A「点呼!」
不良B「イチ!」
不良C「ニ!」
不良D「サン!」
不良E「シ!」
不良F「ファイブ!」
不良G「シックス!」
不良H「セベン!」
男子生徒D「エイツ!」
不良A「ようし、揃っているようだな」
九人揃っているようだった。
ふと、観客席から、
おりえ「きゃぁああー! Dくーん、頑張ってー!」
女子からの声援。
それに対して過剰に反応したのは……。
不良D「うほっ。オレのファンなんていたんだな、いやぁ照れるなぁ」
が、しかし、おりえが応援しているのは、
おりえ「あなたじゃないにゃん。あたしが応援しているDくんは、あっちのDくんだにゃん」
男子生徒D「え、オレっすか」
不良D「くっそぉおおおお! 貴様よくもッ!」
で、内紛。
不良D「Aさん! あの男! 女に応援されてヘラヘラしてますよ! いいんすか!」
男子生徒D「いや……ヘラヘラなんてしてないっすけど……」
不良A「何だと。女に応援されるような軟弱モノは、わがチームにはいらん! 即刻出ていきたまえ!」
不良ども「「「「でーていけ! でーていけ!」」」」
出て行けコールが巻き起こった。
男子生徒D「いや、え……わ、わかったっす」
……そして、Dくんは、志夏の前に来た。
志夏「何か?」
男子生徒D「仲間に入れて欲しいんすけど。あのわけわからん不良を懲らしめたいんで」
志夏「いいわよ。ちょうど一人足りないところだったの」
達矢「足りない? いや、九人居るじゃねぇか。俺、紗夜子、まつり――」
紅野「てかさ、まつりは何でこっちのチームに居るの?」
そりゃ、まつりと不良が争ってたからだろ。
まつりと不良の争いに介入したのに、何でまつりと不良が同じチームになるんだよ。何を言っとるんだ、明日香は。
まつり「はぇ? そりゃだって、不良とモメたのは、あたし――」
紅野「そんなの関係ないじゃん。まつり、不良じゃん」
まつり「なっ――」
達矢「おい明日香」
俺は明日香と小声で話す。
紅野「何?」
達矢「まつりと不良の争いに介入したのに、何でまつりと不良を同じチームにしてんだよ」
紅野「いや、これには作戦があるのよ」
達矢「? 何だよ作戦って」
紅野「同じチームで野球をやってるうちに仲直りして、チームメイトで仲良くなって、ケンカをやめるんじゃないかなっていう、ね」
達矢「なんつーか、単純だな、お前」
紅野「世の中ってのは、実は単純なものなのよ」
達矢「そうかぁ?」
割と複雑な人間が多いような気がするけどなぁ。
ともあれ、明日香は言った。
紅野「とにかく、まつりはあっち。ね、志夏」
志夏「そうね」
まつり「えぇえええ……」
不満そうだった。
志夏「というか……そうね、戦力構想外ね、上井草さんは。皮をむくことができないピーラー並に使いどころがないわ」
戦力外通告をした。
まつり「なにぃ!? その言葉ぁ! 後悔させてやる!」
言って、まつりは不良チームの方へと悔しそうに走って行った……。
意外と扱いやすいヤツなのかもな、上井草まつり。
志夏「これで、それらしい構図になったわね」
達矢「それらしい構図ってのは何だ?」
志夏「上井草さん率いる不良軍をやっつける私たちっていうね!」
達矢「あぁ……なるほど……」
すると遠くから、まつりの声が聴こえてきた。
まつり「何としてもぉ! あいつらには勝つわよ!」
不良どもはお通夜状態。
まつり「おらぁ! 返事しろ貴様らぁ!」
不良ども「「「は、はい!! まつり様!!」」」
不良チームは、まつりに乗っ取られたようであった。