フェスタ_明日香-1
※野球ルートですので、興味ない方はごめんなさい。
志夏「さぁ、誰を手伝うの? たっちゃん!」
達矢「紅野明日香を手伝おうと思う」
俺はそう言った。
志夏「そう」
達矢「何だ、反応が薄いな」
志夏「まぁ、たっちゃんが紅野さんを選ぶのは、ごく自然なことのように思えるからね」
達矢「何だそれ。意味わかんねぇぞ」
志夏「わかんなくても良いわよ。たっちゃんがバカなのは今に始まったことじゃないもんね」
達矢「…………」
えっと、何か知らんが、バカにされたよな、今……。
何なんだ一体。
志夏「まぁ、とにかく、紅野さんなら、昇降口周辺……まぁ一階のその辺の廊下に居るわよ」
達矢「何か言い方が適当だなおい……」
志夏「そう? 極めて的確に彼女の居る場所を言ったんだけど」
達矢「そうっすか……」
一階の廊下、ね。
達矢「とりあえず行ってみるか」
志夏「いってらっしゃーい」
俺は生徒会室を後にした。
言われた通りに、昇降口あたりの廊下をブラブラしてみる。
少し騒がしい廊下をゆっくり歩いていく。
その途中で、紅野明日香の後ろ姿を見つけた。つまり、まさに志夏の言うとおりの場所に居たわけだ。
達矢「あ、おーい、明日香」
話しかけると、立ち止まり振り返った。
紅野「ん? あぁ、達矢」
達矢「何してたんだ?」
紅野「歩いてた」
まぁ、そりゃ見ればわかるが。
紅野「どうしたの? 私に何か用?」
達矢「ん、あ、まぁ、あれだ。明日香のこと、何か手伝おうと思って」
紅野「手伝うったって……私、今サボってんだけど」
達矢「そ、そうなのか……」
紅野「…………」
達矢「じゃあ一緒にサボろうZE☆」
――って、何言ってんだ、俺。
紅野「いいよ」
しかもオッケーされたっ。
達矢「と……んじゃぁ……どこでサボるか……」
紅野「散歩でもしようよ、散歩」
達矢「……そんなんで良いのか?」
紅野「いいじゃん、散歩。どうせこの街には、そんなに遊ぶところも無いでしょ。それに、私もこの町に来たばかりだから、散歩は最大級の娯楽なのよ」
達矢「なるほど……」
確かに、そうかもしれないと思った。いや、むしろ、俺もそう思っていたところだったんじゃないだろうか。なんか気が合いそうだ。
紅野「んじゃ、中庭でも行く?」
達矢「そうだな……」
二人並んで、歩き出した。