フェスタ_アルファ-3
元々学校があった場所。
フェスティバルの会場だった場所は……こわれた。
平地、いやむしろ窪地になるくらいに崩壊した。
幸い、死傷者は居なかった。奇跡的。全員無事。
ただ学校だけがぶっ壊れた。
普通、学校が一つ丸ごと爆発したら、大変なことになるのだが、この街ではそんな『普通』が通用しないのだ。
今ばかりはその異常さがあってよかったと思う。
「引き分けですね」
アルファがにこやかに言えば、宮島父は渋い声で、
「ふっ……まぁ、そういうことにしといてやろう」
ススまみれになりながら二人、健闘を称えあっていた……。
と、その時――
「こらぁあああああ!」
笠原みどりが現れた。
「よ、よぉ、みどり」
「『よぉ、みどり』じゃないでしょうが!」
「え……」
「正座!」
「は、はい」
言われるままに、正座する。
瓦礫の上に。
俺も、アルファも、宮島父も。
「戸部くんがついていながら、何でこんなことになるのよ!」
「いや、そんなことを言われても、俺にはどうしようもない力が働いていた」
「言い訳してんじゃないわよぅ! どうすんの! 学校こんなにしちゃって!」
みどりは地面を指差しながら言った。
「いやぁ、空が広いのう」
返しになってない返しをかましたのは、ムキムキ。
「宮島さんも! いい年して何してんですか!」
「アイスクリームを要求します」銀髪少女はキメ顔で言った。
「バカッ!」
宮島父も、アルファも、反省の色が無かった……。
と、そこへ――
「やれやれ……ね」
生徒会長にして級長の伊勢崎志夏が登場した。
「アイスクリーム♪ アイスクリーム♪」
「まだ言うか!」
「はっはっは」ムキムキ。
「級長! 級長も言ってやってよ! 学校こわしたの、この子たちよ!」
みどりは、俺とアルファと宮島父を順番に指差した……。
えっと、何で真っ先に俺を指差すんだよ。誤解を招くだろうが。
しかし志夏はこう言った。
「まぁ、仕方ないわね。どうせ壊れる運命だったみたいだし」
志夏は言って、上空にめいっぱい腕を伸ばし、人差し指で、真っ直ぐ空を指差した。
その視線の先には――
「あれ……何だ?」
……鍵型隕石が落ちてきていた。
【フェスタ_アルファルート おわり】