RUNの章_時代はRUN世-6
「……んっ……」
目を開くと、みどりの姿が見えた。
「あっ、気がついた……?」
「ここは……?」
「保健室」
「あぁ……そうか……殴られたんだっけな」
「なんか、廊下でボロ雑巾のようになってたから、拾ってここまで運んでもらったの」
「まぁ、何と言うか、ありがとうな」
「まぁ、とにかく……まつりちゃんに逆らうなんて、愚かな行為としか言えません。ね、風間くん」
「そうですね。愚かです」
「フミーンも居たのか……」
声のした方に振り返り、みどりとは反対側に居たフミーンを発見した。
「今、何時だ? フミーン」
「三時間目の授業中ですけど……」
「そうか……てことは、二時間も眠っていたわけか。……まつりは?」
「さぁ……」みどり。
「そういえば、さっきから姿が見えないですね」フミーン。
「でも、大丈夫よ。まつりちゃんはどんなに怒っても、仲が悪くなるなんてこと無いから」
「そうなのか」
「うん。まつりちゃんは、ほら、一人になるのが一番嫌なの。あんなふざけた言動してるのに孤立を嫌うなんて、わがまま以外の何者でもないんだけどね、ほら、まつりちゃんて……」
「ああ……」
「「子供だから」」
俺とみどりは同時に言った。
「なぁ、みどり、フミーン。こうなれば、皆でランちゃん派に乗り換えちまうか」
「それ、いい考えね」
「まつりなんか孤立してしまえば良いんだ」
「うん、あたしも、まつりちゃんにイジワルされるのはもう嫌。マリナも誘って皆でRUNちゃんの仲間になりましょうか」
「どうせ、選挙はランちゃんの圧勝だろうしな」
「勝ち馬に乗っておくのも良いかもね」
「ふはは」
「うふふ」
みどりと二人、笑い合っていると、
「あの、お二人とも……まつり様が背後に居ますよ」
「「!?」」
振り返るとそこには……。
まつりが居った。
「何とっ……いつの間に……!」と俺。
みどりは頭をぶんぶん振りながら、
「ち、ちがうのっ!」
「みどり~」
「ひっ」
「たつや~」
「あわわわわ」
慌てるしかない。
「二人とも、死ぬか?」
「やっ、ごめっ、冗談!」とみどり。
「そうだぞ、冗談だ、な、みどり」
「あたしは、戸部くんにこう言えって言われて」
「おいぃ! 自分だけ助かろうなんてムシが良すぎるだろうが!」
「だって!」
「だってじゃねぇだろ!」
「ええい、しねぇえええ!」
「ウワァアアア」
「キャァアアア」