大場蘭の章_7-2
で、その教室の前にやって来た。
頭上のプレートには『2年A組』と書いてある。
「開けるぞこの野郎!」
「ええよ」
その教室の引き戸を開けた。
ガラッ。そしてすぐに閉めた。ピシャン。
「何で閉めるん?」
「何か居た! 人間っぽいのが椅子に座ってた! 窓際で闇の中に白く浮かび上がってた! 痩せていて、髪の短い。しかも、何か泣いてたぞ。涙を流していた!」
「どれどれ?」
そして再び戸をRUNが開ける。
すると、
「誰もおらんよ?」
「何だと!? それではまるで幽霊ではないか!」
俺は、教室を再び覗き込んだ。
「な? おらんやろ」
「なんやてぇえ!」
思わず関西弁で叫んだが、確かに、居なかった。おかしい!
「いや、居たんだよ! 体が細くて髪の短い誰かが!」
「大丈夫?」
「だ、だだだ、大丈夫だぜぇ! ただの幽霊だろ! あるいは幻ィっ? 全然こわくなんか無いっさぁ! はっははは!」
「はいはい、じゃあ次いこな」
「ま、待て。そんな、かわいそうなものを見るような目で見るなぁ!」
「さあ、達矢くん、次はどこ行きたい?」
「あ、後はどこが残っているんだ!」
「美術室、保健室、男子トイレ……と、廊下の生首」
「保健室だ!」
「さっきまで居った場所やから安心ていう判断やな」
「…………」
「図星やな」
「うるさいっ」
「こわいならこわいて言えばええやん」
「ほら、行くぞ! 保健室だ!」